公務員を辞めようと考えているなら、今の生活を諦める覚悟が必要です。
私は、10年以上働いていた税務署を退職しました。
辞めてから気がついたいのは、決して自分だけが特別な悩みを持っていたわけではないことです。
公務員として働く人の悩みは、5種類に分類できます。
- やりがいを感じない
- 自由に仕事をしたい
- 閉鎖的な環境から抜け出したい
- 自分の経験を周囲に伝えたい
- 元公務員の価値を利用したい
公務員が、職業として特別なわけではありません。
すべての公務員の仕事が、大変ってわけでもありません。
しかし、公務員として働いたことが無いと、理解できない悩みがあります。
- 公務員の職場は閉鎖的なので、どうしても悩みを打ち明ける環境がない
- 同僚に仕事を辞めることを相談することもできない
解決するには、自分の頭で悩み、そして答えを出すしかありません。
結論が、引き続き働くことならそれで大丈夫です。
ただ、今の環境を変えたいなら、今の生活を諦めるしかありません。
1:公務員の仕事上やりがいを感じないのはしょうがない
公務員の仕事上やりがいを感じないのは、しょうがないです。
公務員の仕事を、生き生きとしている職員はいるでしょうか。
公務員の仕事を、オススメする書籍はあるでしょうか。
周囲を見渡しても見つからないのは、公務員の仕事自体にやりがいが無いからです。
① 公務員の仕事は単純作業が多いので向上心が芽生えない
公務員の仕事は、単純作業が多いので、向上心が芽生えません。
公務員の仕事を否定する気はないです。
しかし、事実として、公務員の仕事の多くは利益を生まない仕事です。
民間企業であれば、100万円の売り上げのために90万円の労力を使います。
しかし、公務員の場合には10万円のために、100万円の労力を使って仕事をします。
民間企業ではありえないことです。
(あるかもしれませんが、続けば会社が倒産します)
確かに、公務員の仕事自体、民間企業では行えない作業を仕事とします。なので、費用対効果が無いからといって、無駄ではありません。
ただ、実際の公務員の現場では大半が無駄な作業を仕事としています。
成果を生まない仕事は、どんなに頑張ってもなにも結果が出ません。
「お金がもらえればいいじゃないか」と思える人は公務員が適職です。
ですが、無駄な部分に不満を感じてしまうと、公務員として働くのは大変です。
なぜなら、無駄を削減しても、公務員自身に(給料が上がるなどの)得がありませんので。
② 意味のない仕事をやることに意味を考えると無力感が生まれる
意味のない仕事をやることに、意味を考えると無力感が生まれます。
どんな物や行動も、価値を見出せればプラスの効果があります。
辛い作業も、自分にプラスとなると、わかるからこそ頑張れます。
しかし、公務員の仕事の中にはどう考えても無意味な仕事が多々あるのが現実です。
私は元税務署職員です。
税務署では、広報のために大量のパンフレットを配布します。
実は、パンフレットの7割は使用せずに廃棄するもので、中には税務署に配られてから1週間で使用禁止になるパンフレットも存在します。
(誤字脱字の関係で)
そもそも、税務署に来署される人に、パンフレットを配っても意味がありません。
パンフレットの内容は職員が説明すればいいですし、パンフレットなら、その場で印刷して渡せばいいだけです。
それでも、昔からの慣習との理由だけで、毎年大量のパンフレットを印刷します。
カラー印刷で毎週何万部の廃棄があったら、どれだけ無駄になるでしょうか。
それを公務員組織は考えていません。
しかし、職員として一番嫌なだったのが、無駄なパンフレットを設置・廃棄するために労力を割かなければいけないことでした。
公務員は、時給換算すれば、アルバイトの倍の給料をもらっています。
なのに、アルバイトがするのも無駄な作業を職員が毎日のように行っています。
そこに無力感を覚えると、毎日無力感と戦わなければいけないので、公務員が辛くなってしまいます。
③ 民間以上に仕事ができる人と出世できる人は関係がない
民間以上に、仕事ができる人・出世できる人には関係性がありません。
ノンキャリア採用は、国税組織を動かす立場になることは最初から不可能です。
それでも、ノンキャリア組でもある程度の地位まで昇進することができます。
税務署で考えれば、税務署長の半数は高卒(税務職員)採用です。
なので、努力すれば出世することはできます。
しかし、出世を目指すのであれば仕事よりも上司との人間関係を最優先に考えるべきです。
公務員の出世は人との繋がりです。客観的な評価は必要ありません。
表面上は関係無いと言われますが、特定の人の推薦により出世するケースは存在しますので。
どんな職員でも、無難に仕事をこなせば、最低限の出世できるのは公務員の魅力です。
しかし、仕事を頑張ったからといって、出世できないのも公務員の特徴の一つです。
2:公務員のしがらみから抜けて自由に生きたいと思うの当然の発想
公務員のしがらみから抜けて、自由に生きたいと思うの当然の発想です。
公務員の職業に満足している人はいます。
しかし、満足している人の大半は、公務員の待遇面が優れているからです。
待遇面にやりがいを見出す必要はありません。
待遇面を除いた公務員に、魅力を感じる人がほとんどいないのが実態です。
① 時代に逆行して公務員は副業が禁止されている
時代に逆行して、公務員は副業が禁止されています。
民間企業では一部副業解禁になっていますが、公務員は副業禁止です。
アルバイトもダメですし、ブログに関しては、広告を掲載しただけでアウトになる可能性があります。
バレないで副業していたと思っていも、どこから情報が漏れるかはわかりません。
同僚だからといって信用しているととんでもないことに・・・
公務員が副業禁止されているのは、法律上、職務専念義務が規定されているからです。
国家公務員法(職務に専念する義務)第百一条 職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。
法律で規定はされています。しかし、なぜ公務以外の時間の自由な時間に仕事をしていけないと思いませんか。
遊ぶにしても、仕事以上にパワフルに活動する人はいますし、副業が本業に影響が出るとは限りません。
ですが、その議論すらされないのが公務員です。
一部の地方自治体が副業解禁の動きもあるみたいですが、公務員全体として副業解禁となることはないでしょう。
なぜなら、副業解禁すると公務員の給料が下がる可能性があるからです。
公務員の給料で満足している人が副業解禁しても得しませんよね。
それだったら、副業禁止のままで、その対価として公務員の給料を維持した方が楽です。
そんな方々が、公務員には多く在籍します。
② 公務員が感じる社会の目は公務員にしかわからない圧迫感がある
公務員が感じる社会の目は、公務員にしかわからない圧迫感があります。
公務員は、税金から収入を得ていますので、世間の目にさらされるのは、仕方がありません。
しかし、時に必要以上に批判されることも多々あります。
残念ながら、マスコミにとって、公務員は叩くメリットしか存在しない組織です。
民間企業であればスポンサーになる場合もあるので控えるケースもありますが、公務員がスポンサーになることはありませんので、マスコミは叩き放題です。
当然、まったく関係ない地方公務員の不祥事であっても、全国の公務員が悪行を働いているかのような報道をします。
もちろん、そんな報道をイチイチ気にしては、公務員して働くことはできません。
ただ、常に批判の的にされながら仕事をするのには、精神的にも疲れます。
ふとした時に「自分は何のために仕事をしてるんだろう」との疑問が湧くと、答えが出ません。
答えが出ない時、批判的な視線は、とても心に刺さります。
③ 公務員の生活スタイルと収入には限度があるため生活に制限がかかる
公務員の生活スタイルと収入には、限度があるので生活に制限がかかります
公務員の給料は、低くありません。
地域の平均賃金を参考にしているため、低所得者になることはないです。
しかし、公務員で働いている間は、大きな贅沢はできません。
世界一周旅行や、タワーマンションの40階に住むではありません。
- 1か月旅行に行く
- 数年に1度住む場所を変える
- 平日に出掛ける
公務員として働いている以上、これらの生活を望むことは不可能です。
今の生活に満足していれば、公務員して働いてOKです。
ただ、今の生活に制限をしているなら考える必要もあります。
3:閉鎖的な公務員の人間関係を避けるのは逃げではない
閉鎖的な、公務員の人間関係を避けるのは、逃げではありません。
はっきり言えば、嫌いな人間は必ず存在します。
ある程度は避けることもできますが、小さなコミュニティ内ではどうしても接触することになります。
自分の精神安定を優先するなら、その場から離れるのが一番の選択肢となります。
① 閉鎖的な職場は一生同じ人と付き合っていく必要がある
閉鎖的な職場は、一生同じ人と付き合っていく必要があります。
国家公務員の場合は転勤が多いですが、それでも人間関係は同じ人々です。
5年も働けば、以前同じ場所で働いていた先輩・上司と一緒に働くことも普通です。
もちろん、良い人と一緒に働けるのはいい面もあります。一方で、逆に悪い人とも一緒に働く可能性があることを意味します。
人間関係も割り切りも大事ですが、組織の都合で人事異動されられるのは精神衛生上よくありません。
私の場合、人間関係も公務員を辞めた原因の一つです。
② 公務員は民間企業との交流が無いので知り合いが少ない
公務員は民間企業との交流が無いので、知り合いが少ないです。
公務員で注意しないといけないのが、利害関係者との接触です。
公務員は、『国民の疑念を招く行為』をしてはいけません。
簡単な話、怪しい行動をした時点で処罰の対象となる可能性があります。
例えば、地方公務員が、職場管轄の民間企業から接待を受けることは禁止されています。
一方で、学生時代などから私的な交流があった人と飲み会をしても問題はありません。
となると、社会人となってからの付き合いはどうしても難しくなります。
交流があっても、公務員の身分を隠しながらにします。
私も公務員ではなく、職業事務員と言っていましたので。
そうなると、そこまでして交流を持とうとはしなくなりますので、結果的に自分の行動範囲を狭めることになります。
③ 公務員の独自ルールは未来永劫に存在するルールだと認識するべき
公務員の独自ルールは、未来永劫に存在するルールだと認識するべきです。
公務員は、独自ルールが本当に多いです。
飲み会のルール然り、決裁方法や指示の仰ぎ方もマニュアルが存在します。
ハッキリ言えば、無駄。何も意味がありません。
しかし、何も意味が無い部分に意味を持たせようとするのが公務員。
(だからといって意味を持つようにはなりません)
合理的に考えればこちら側の主張が正しいことは沢山あります。ですが、批判されるのはこちら側です。
公務員として、正しいのは、前年踏襲と上司の尊重です。
どちらかが無くならない限り、独自ルールが無くなることはありません。
4:公務員として自分の経験を伝えたいのは自分の気持ちを整理したいから
公務員として自分の経験を伝えたいのは、自分の気持ちを整理したいからです。
人は、自分の行動を正当化したい生き物です。
公務員の生活を失敗と考えているなら、どうにかして公務員時代の経験をプラスにしようといます。
失敗を活用したい気持ちは、悪いことではありません。
しかし、失敗を活用して何をしたいかまで考えないと、公務員を辞めても意味がないです。
① 仕事を辞めるときは自分の経験を活かした仕事がしたい渇望感に襲われる
仕事を辞めるときは、自分の経験を活かした仕事がしたい渇望感に襲われます。
公務員の仕事がつまらないと感じると、自分の力を試したと思い始めます。
「自分に能力がある」などの考えではありません。
今ある自分の力を確かめたい気持ちになるのです。
現実で考えれば、公務員の能力が社会で通用するかは難しいです。
少なくても、公務員と同じ考えでは失敗する可能性が高いです。
それでも、公務員で働いている以上渇望感を埋めることが難しい事が多いです。
その不安を消すには、別の選択肢も必要となります。
② 公務員は教える仕事なので教える作業が好きになっている
公務員は教える仕事なので、教える作業が好きになっています。
公務員の方から相談をお受けして、気が付いた点がありました。
公務員として働くと、人に教えることに関して興味を持つようになることです。
私は今現在はブログを書いていますが、それ以外の選択肢として、塾の先生などにも興味がありました。
(高卒なので無理でしたが)
一人で考えていた時は、自分だけが考える特異な考えだと思いました。
しかし、話を聞いていくと意外と人に教えることに興味・関心を持つ人が多かったのです。
③ 公務員は人に褒められないので喜ばれる仕事がしたい
公務員は人に褒められません。
その反動で、直接喜ばれる仕事がしたくなります。
税務署職員の仕事なら、調査を受けて喜ぶ人いません。
確定申告期間中であれば、Twitterでは税務署の批判ばかりが飛び交います。
事実、批判的な意見が正しいケースもありますし、それを真摯(しんし)に受け止める必要があります。
しかし、自分は常に批判的に意見にさらされる職場で働きたかったのか。
そう考えると、私は違いました。
自分の持っている知識や行動を活かして、相手に喜んでもらう仕事がしたかったのです。
極端な話、公務員時代の給料が半分になったとしても、直接喜んでもらえる仕事であれば、その仕事に満足できると思いました。
それくらい公務員の状況には我慢できませんでした。
5:元公務員が少ないからこそ公務員の経歴を活かしたい考えは正解
元公務員が少ないからこそ、公務員の経歴を活かしたい考えは正解です。
価値は、相対的な評価で決まります。
どんなに優れている技術でも、多くの人ができる技術の価値は高くなりません。
一方で、あまり優れていない技術でも、誰も持っていない技術であれば非常に価値は高くなります。
「元公務員」も、一つのポジションです。
元公務員から異業種に飛び込んでいる人が少ない今の現状は、辞めるタイミングとしては悪くありません。
① 現時点で公務員が転職を考えた時に元公務員の情報が少ないことに気がつくべき
現時点で公務員が転職を考えた時、元公務員の情報が少ないことに気がつくべきです。
私は、2018年7月に公務員を退職しました。
退職した1年前と比較すれば、ネット上に元公務員として働く人が増えてきました。
しかしそれは、私自身が元公務員の人を探す目を持っているからです。
公務員として働きながら、元公務員の情報を掴むのは難しいです。
それを実感すると、公務員を辞めたら元公務員として情報を発信したくなります。
もちろん利用したい気持ちもありますが、同時に同じ苦労をさせたくない気持ちにもなるのです。
② 『公務員』という職歴を活かすことに恥じらう必要はない
公務員の職歴を活かすことに、恥じらう必要はありません。
なんだかんだで、公務員の職業にはブランド力があります。
飲食店を退職しても特に聞かれることはありませんが、公務員を退職した場合、100%「どうして公務員を辞めたの?」質問されます。
世間一般的には、公務員を辞めるのは非常識だからです。
(公務員を辞めた私でも、今もそう思います)
それくらい公務員ブランド力は、健在です。
たとえ公務員を辞めたとしても、せっかくある元公務員ブランドを利用しないと損な気がします。
【30歳脱サラ・新人ブロガー】
と
【30歳で公務員を退職!新人ブロガー】
どちらの方が、珍しさを感じますか。
『30歳で公務員を退職!新人ブロガー』ですよね。
実際に利用するかどうかは本人次第です。
しかし、自分の職歴を利用する分には損はありません。
③ 公務員として働いたことに正当性を持つ気持ちは当たり前
公務員として働いたことに正当性を持つ気持ちは、当たり前です。
公務員として働いていた時代も、自分の人生の一部分です。
- 元公務員だから知れたこと
- 公務員ではないと感じられなかったこと
公務員として働いてきたことを活用できれば、人生に満足感が生まれます。
公務員を選択したのを失敗と考えるなら、失敗を失敗のままにしたら、後悔になります。
失敗を成功の糧としたら、経験となります。
二つの違いは、自分がどう利用するかだけ。
自分の体験を活かすことが、自分を納得させることにつながります。
6:元公務員の意見は一つの情報でしかなく、退職だけが正解ではない
元公務員の意見は、一つの情報でしかありません。
私は公務員を退職しましたが、公務員を辞めること自体が正解だとは思わないです。
人によっては公務員で働くことが正解かもしれませんし、現状では最適解なケースもあります。
しかし、自分だけで考えていると一方的な考えになってしまいます。
どこか違った目線で【職業 公務員】を見ないと、選択を誤ってしまう可能性があります。
私以外にも、元公務員として行動し、情報発信している方はいます。
大事なのは、他人の話を自分自身に置き換えて考えることです。
- 自分の優先すべきことは何か
- 自分の達成したい目標は何か
- 達成するためにどのような手段を用いるか
それらの答えとして、公務員があるのならそのまま働きましょう。
ですが、もし公務員が最良の答えではなければ、別の道を考えることも必要です。
(考えた結果、公務員として働き続ける結論になるのも当然アリです)
転職するにしても不安はあります。公務員時代よりも給料が低くなることも十分考えられます。
それでも、公務員を辞めて後悔しないくらい考えたなら後は行動に移すべきです。
行動しなかったことを後悔するのが、一番悔しいですので。
ご参考になれば幸いです!