「入社して初日に辞めるなんてありえない!」
って、思いますか・思いませんか
最初から「あぁこの会社無理だわ」と本人が思ってしまったら、そのまま勤務しても続かないでしょうから早期の決断も理解できます。
ただ、就職活動時に判断できなかったのかと疑問に思う節はありますが。
それでも、実際に就職しないと現実はわからないもの。
採用試験を受ける側も試験する側も猫を被っているのは同じこと。
蓋を開けてみないとわかりません。
前置きが長くなりましたが、公務員とてそれは同じです。
いくら周りから「楽だ」とか「将来安泰でいいね」とか言われていても、実際に本人が苦痛であれば関係ありません。
現に私は辞めてますし(;^ω^)
また、公務員であっても私の同期は1週間で辞めました。
そこで今回は民間の離職率と公務員(特に税務署)の離職率を比較してどんな感じかをご紹介していきます!
1 一般企業の離職率はどうなのか
⑴ 今の若者も直ぐに辞めたりはしていない
まずはこちらのグラフをご覧ください。
厚生労働省が公表している新規学卒就職者の在職期間別離職率が推移したグラフです。
※ グラフが見えにくい場合はこちらをご参照ください
上から中卒・高卒・短大及び大卒の順になってます。
昔から就職してからの三年間の離職率は七五三と言われており、中学卒は7割、高校卒は5割、大学卒は3割辞めると言われていました。
上記のデータは直近30年のものになりますが、多少波はあっても30年間で離職率の大幅な変動はありません。
つまり、最近の若者はすぐに仕事を辞めるというのは、統計的には的外れな表現なのがお分かりになるかと思います。
⑵ サービス業は出入りの激しい業種
厚生労働省が公表している平成 28 年雇用動向調査結果の概況の一部を抜粋しますと、業種別の入職率・離職率は以下のようになります。
グラフを見てわかるように、『宿泊業、飲食サービス業』の入職率・離職率が飛びぬけて高い水準にあることがわかります。
基本的に労働者過多にならないと離職率が入職率を上回ることはありませんが、毎年3割の労働者が移動していると考えるとスゴイ業界ですが・・・
因みに公務員はこちらのグラフには入っていません。
統計目的があくまでも雇用なので重視していないのかもしれませんが、もしからしたら公表できない理由が・・・ってそこまでは考えてないと思います(笑)
2 実際に経験した税務署の離職状況
公務員全体で離職率についてのデータは確認できませんでしたので、私の元職場でる税務署(国税庁)での経験をベースにご説明します。
⑴ 1年間の研修期間で1割が退職する
私は高卒で就職したので、3年で半分が退職するグループ(七五三の五割の部分)に該当します。
公務員は離職率が低いと言われていますが、それでも意外と退職する人はいました。
私は東京国税局採用だったのですが、同期は120人くらいです。
研修は全寮制で同じ場所1年間勉強をするのですが、全体の1割は研修を修了することなく辞めていきました。
理由として一番は「こんな場所だとは思っていなかった」が一番多かったので、辞める理由は民間企業の人とあまり変わりませんでした。
また、国家公務員は転勤が多い職種なのですが、地方局の採用なのに実質的に東京国税局管内の税務署に配属されたりする人もいたので「聞いていた話とは違う」とのことで1週間で辞めた人も。
意外と公務員は地域密着と思われますが、国家公務員は公務の要請があれば全国どこにでも飛ばされます(笑)
全員ではありませんが、東京国税局管内であれば山梨県から千葉県への転勤は普通です。
まぁ、私もそれが嫌だったのですが・・・
当時は「公務員になっても結構辞める人いるな」と思いましたし、実際当時から私も辞めたかったので気持ちはわかります。
(現に辞めましたし)
特に自分のイメージしていた環境とは違うギャップに耐えられない人もいるので「公務員だから辞めるのはもったいない」はアテにはなりません。
⑵ 始めの10年間で更に1~2割が辞める
私は12年勤務していたので10年以内には該当してませんがそれでも1,2割は退職をします。
主な理由としてはこちらです。
- 仕事が合わない
- 人間関係が合わない
- 結婚を機に
特段、公務員ならではの理由ではありませんよね
強いて挙げるとするならば、「公務員の給料が安いから辞めた」って人の声は一人も聞きませんでした。
お金を使い込んでクビになった職員は見かけましたが(苦笑)
因みに、税務署であれば高卒や大卒採用であっても離職率に違いはありません。
大卒の場合にも研修(3か月)はあるので、そこで辞める人もいます。
ですが、職場に配属されたら学歴と離職率の相関性は感じなかったです。
ただ、突然職場に来なくなるのは大卒が多い印象がありましたが。
⑶ 30歳以降は基本的に辞める人はいない
30歳を超えると感覚的に転勤意欲が下がってきますので、辞める人は殆どいません。
- 健康上の理由
- 家族の都合(子育てや介護)
- 本人の不祥事
この3パターンで退職される人が多いです。
公務員もうつ病などの精神的な病気になる人は多いのですが、ある程度の年齢になると退職を留まる人が多い印象があります。
職場に留まるのが良いのか悪いのかは個々の事情によりますが、転職できない(しづらい)環境が退職を踏みとどまる一因かもしれません。
私のように10年以上勤務した後にてやりたい事があって辞める職員は結構珍しい存在でした。
周囲からすれば辞める理由は不可解ですからね(笑)
3 離職率が低くても良い職場とは言えないワケ
民間企業と公務員(税務署)を比較した場合、やや公務員の方が離職率が低いように感じます。
特に高卒で考えれば、税務署では離職率は2、3割ですが民間企業の離職率は5割なので、高卒での待遇は公務員の方が良いかもしれません。
もちろん、民間企業も業種によって大きく隔たりがありますので、単純に公務員の離職率がそこまで低いとは言い切れません。
また、公務員の離職率が低い理由には公務員の特殊性があります。
① 公務員の代替えとなる同業種が無いこと
税務署の様な機関は地方自治体にはありますが、税金の徴収に特化した組織は存在しません。
また、公務員の場合には年齢制限等が厳しいので新卒以外で採用される確率が非常に低いです。
特に30歳を超えた場合、社会人採用枠で入るしかありませんが、かなりの難関なので入るのも一苦労。
SE(システムエンジニア)などは他の転職先は多くありますが、公務員にはそれがないのがあります。
② 世間から見た公務員のブランド力が強力であること
公務員は批判の的にはなりますが、結婚相手や銀行からは高評価です。
逆に公務員として働いている職員は、公務員ブランドを失った場合の損失が大きく感じてしまいます。
公務員もイチ職業なのですが、人は失うことに敏感な生き物。
待遇が良いと感じたら多少大変でも我慢してしまいます。
その結果身体を壊す人もいるのですが、、
民間企業でも同様です。
「せっかく上場会社に就職したのだがら」
「一流企業に入れたのは奇跡」
なんて理由は他者からの視点であり、自分自身にとっては何も意味を成しません。
逆に直ぐに辞められる環境(離職率が高い)は純粋な職場環境の評価だけで判断されるので、離職率高い=職場環境が悪いとはならないのです。
もちろん現実的には離職率の高いサービス業などは大変な環境が多いです。
それでも、「サービス業だから」との先入観が判断を誤らせる要因にもなりますので注意してください!
ご参考になれば幸いです!