「財務省って隠ぺい体質なの?」
わかりません(苦笑)
財務省や国税庁は税務署から見ると天の上の存在です。
対等に話すことはできませんし、あちら側も対等に話そうとは思っていません。
昨年から隠ぺいや忖度や口利きの話が出てきてますが、実際のところを知っているのは財務省や国税庁の人間のみなので、末端の人間は他は知る由もないところ。
自動車工場の従業員に「御宅の親会社の社長って何考えてるの?」って聞くのをイメージしていただくと分かり易いです。
「知らんがな」と回答されることが容易に想像できると思います(笑)
大臣が過去に国税庁口利きを図った疑惑として週刊誌が問題としていますが、税務署レベルでの口利きはどうなのか。
その疑問についてお答えします。
1 税務署レベルでの口利きは存在しない
⑴ 税務職員にとって口利きのメリットがない
口利きとはそもそも両方に利益が無いと成立しません。
(不正を依頼する)納税者側は税金を免除してもらったり、特例を継続を望みます。
逆に税務署職員が口利きをするのであれば、そのリスクに見合う対価が得なければ行いません。
ですが、たかだか100万円の為に口利きをするのでしょうか。
見つかれば当然犯罪ですので、公務員としての職を失います。懲戒免職処分の場合には退職金も支給されません。
金額から言っても100万円が価値のある話とは言いがたいです。
それなのに口利きをするのは費用対効果が薄いとしか言えません。
⑵ 口利きをするのは人の繋がり
それでも口利きをする可能性があるのは、納税者が職員との繋がりがある場合です。
税務調査で初めて会った人に対して口利き(違法行為)を依頼できますでしょうか。
普通出来ませんよね。
少なくても一定の信頼関係は必要になってきます。
そうなると一番可能性があるのが元税務署職員であるOB税理士。
OB税理士の後輩が税務署や国税局の重役にいる場合はありますので、OB税理士経由で口利きをする可能性唯一あると思っています。
それでも両者に利益が無ければやらない話。
まぁ収賄事件はたまに発生してしまうのですが(;^ω^)
⑶ 税務署職員は機械的か人情的かどちらがいいのか
税務署職員でいた時には「毅然とした態度で臨む事」と言われていました。
税務署は適正公平な課税を目標としているので納税者によって良し悪しを変更してはいけません。
ですが、YES・NOをはっきりさせることで揉め事になることもあるのも事実
「こちらの意見を聞こうとしない」
「結果ありきの判断だ」
ハッキリとした判断は時に悪い印象を与えます。
一見良さような人情味溢れる職員ですが、一歩間違えると、
「人によって対応が違う」
「忖度しているのではないか」
などの疑いの目を(意図的に)持たれてしまいます。
いっそどちらかに冷徹or人情に振り切った方が双方にメリットがあります。
「税務署は冷徹で何を言ってもひっくり返らないからできるだけ早く終わらそう」
そんな風に考えてもらえるように意思統一ができれば、税務署職員としても仕事がしやすいのが本音です。
2 官僚は公務員であって公務員でない
⑴ 官僚を公務員の括りに入れてはいけない
当たり前ですが、官僚も公務員です。
ですが、官僚を普通の公務員と一緒にしてはいけません。
そもそもキャリア採用は採用の入り口から違います。
ノンキャリア組はキャリアの上に行くことは無く、逆にキャリアはノンキャリア組の下で働くことはありません。
なので、官僚は常に公務員のトップの位置で働き続けるのです。
公務員のトップには様々な業界のトップが終結します。
いわば異次元の会合
一般的な公務員とは格が違います。
ですので、一概に同一視され、官僚の汚職を現場の公務員にまで押し付けられるのは少々辛い部分であります。
⑵ マスコミ報道での被害を被るのは現場
99%の公務員は犯罪を犯してません。
50%くらいの職員はもっと働いた方がいいと思いますが(笑)
ですが、1%未満で犯罪を犯すと、その組織全体が犯罪者の烙印を押されます。
元国税庁長官の事件に関しても、「財務省が、国税庁が」と組織として言われ続けており、全く関係のない人も非難を受けていました。
ですが、国税庁長官が何をやっても現場には一切関係無い(影響が無い)です。
国税庁長官一人が変わったくらいで組織は変わりません。
長官も任期は1,2年程度しかなく、そんな年数なら「誰がやっても変わらないのでは」と思うのが正直なところ。
それなのに組織のトップ自身の問題を組織全体の問題として取り上げられるのは嫌でした。
⑶ 規制しても取り締まる人がいなければ意味が無い
元国税庁長官の件で部内規制の強化が行われるようですが、誰が取り締まるのかが不明です。
国税庁長官にしても国税庁№1であり、それ以下の人が反乱を起こすことはあり得ません。
(メリットがないので)
また、国税庁の仕事を財務省が管理するわけにもいかないので自己点検と程度は変わらないのです。
自己点検なら不正することも可能ですよね。
だったら意味が無いのです。
そうやって無意味な仕事がどんどん増加して非効率的な仕事が増えるのです。
3 実際に税務署に口利きは可能なのか
⑴ 下の者は上の者に従うだけ
国家公務員には上司の命令に従う義務があるので、上司の指示は絶対です。
一応明らかな法令違反には従う必要はありませんが、税務調査で白黒はっきりしているケースの方が少ないため基本的には従うしかありません。
なので、署長から「今回は見逃してやれ」と言われたら調査担当者はそれに従うしかないです。
(実際にあるかどうかは別ですが)
調査担当者が責任感が強くても調査内容を公にすることは個人情報漏洩と同様なので、リスクが高すぎます。
なので署長クラスに繋がりがある人が口利きすれば、優位なることは否めません。
⑵ 明確な法令違反が無ければどうとでもできる
脱税をした場合には重加算税という一番ペナルティーが重い処分が下されます。
国税通則法(重加算税)第六十八条 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。
法律上で重加算税の対象となるのが、仮装や隠ぺいの対象となった財産に対してです。
でも、仮装や隠ぺいがYES・NOのように明らかに判断することは難しいです。
税務署が申告漏れを把握し、「○○って申告してませんよね」と尋ねたところで、「あっ、すいません。隠ぺい目的で申告してませんでした」という人間は存在しません。
そもそも隠ぺいする人は隠そうとする意図があります。
そんな人が「自分は黒です(`・ω・´)」と先に言うはずがありません。
客観的に白黒ハッキリできないことの逆を言えば、うやむやに出来てしまうのも事実。
「申告が必要な事は認識してましたが、うっかり漏れてました」
そうシラを切って逃れた人がどれくらいいるのか・・・
それが現実です。
4 不祥事だらけの方が改革できる
巷で話題になった口利きが本当かどうかは知りませんが、多少なりとも不正があるのも事実です。
ですが小さな出来事で揺らぐ組織ではありません。
大蔵省が財務省に変更した当時のような不祥事がないと、組織全体が揺らぐ事態がないと改革はできません。
(当時は高額接待や情報漏洩が蔓延してました)
まぁ、最も組織の名称は変更しても職員の変更はありませんが。
それでも、意識の面からすれば変化の見込みはありますので、『やむを得ない状況』が到来するまではじっと我慢するしかないかもしれません。
(そんな状況が発生したら大事なのはそっと置いときます(。-∀-))
ご参考になれば幸いです!