税務署の組織 PR

税務署の無駄な仕事が多い理由(事務手続き編)

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『公務員は無駄が多い!』

 

残念ながら、その通りです。

それでも税務署に働いていて、結構「無駄が多いなー」とか「なんでこんなに意味のない仕事をするの」などとは常日頃から思っていました。

まぁ、部内にも改善窓口が無いので改善しようがないのですが(;^ω^)

 

前回はパンフレットや用紙類の経費の無駄について説明しましたが今回は事務手続きです。

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税務署の無駄な仕事(用紙・パンフレット編) 「税金の無駄遣い~( ˘•ω•˘ )」 この言葉自体は好きではないのですが、公務員時代それを痛感することはいくつも...

 

効率化し過ぎると余裕が無くなり職員が大変になりますが、税務署に限っては逆です。

効率の悪さが職員を苦しめています

無駄なものを多くして、必要なものを削ぎ落しますので正直効率が悪くなることが多いです。

それは現場を知らない人間が机上の空論で作業を進めるからに他なりません。

その実態をご紹介します。

 

1:セキュリティの信頼度はデジタルよりもアナログの方が高い

アナログ

 ⑴ 外に書類を持ち出す際はアナログ決裁

税務署は国民の重要な個人情報を取り扱っているため情報管理には非常にシビアです。

しかし、シビアになっているだけで、実際にしっかりと情報管理されているのかはまた別問題ですが。

(外部とネットワークは繋がっていないのでデジタル経由の流出は無いです)

 

税務署は調査などで部内書類を外に持ち出す際には決裁が必要になります。

営業職であれば個人情報を持ち出すのは当たり前ですが(イチイチ決裁受けていたら仕事になりませんので)、そこは公務員。毎回毎回決裁が必要になります。

 

国民の個人情報を取り扱っているので厳重な管理はしょうがないですが、問題なのがその決裁方法。

紙での決済です。

今時

しかも印鑑も押します

このご時世に

 

アナログが全て悪いとは思いません。

ただ、決裁事務は何も成果を生みませんので、作業時間を最小限にする方がプラスになるのは明らかです。

なのに、毎回外部に書類を持ち出す際には紙で決裁を仰ぎ、それから外出しなければいけません。

 

加えて、国税局が定期的にしっかりと決裁しているかの確認のためにかわざわざ税務署に来書します。

確認のための確認です。

 

「それやる時間と人件費があるならシステム開発しろよ!」

 

とずーっと思っていました。

ですが変わる様子もなく結局12年間そのままでしたが。

 ⑵ タブレット端末での管理をしない不可解な理由

税務署の管理は未だに

電子化もしている部分もありますが、基本的には紙保管が下地となった管理方法です。

なので、紙のやり方を電子に取り入れているだけの電子化は、電子管理の優位性を十分に発揮できていません。

 

外部に書類を持ち出す際に気をつけるべきは個人情報の情報流出です。

残念ながら毎年情報漏洩は発生するのですが、情報漏洩の原因の多くは窃盗置き引き調査先での書類の紛失などの人的ミズがほとんど。

書類を落としたり、置き忘れたりするのは書類が沢山るからです。

いくら管理しようとしても100%防ぐことは困難です。

なぜなら、通勤時に財布を忘れた経験が1度も無い人は99.9%存在しませんので。

となると最小限に防ぐには書類を1つに集約すること。

電子化が進んでいるなら職員1人にタブレットを配布して管理することだって可能なはずです

タブレット管理すれば紛失もありませんし、万が一紛失してもロックを掛ければ直ぐに漏洩することはありませんし、遠隔操作も可能です。

更に、GPS追跡も可能にすれば盗難に遭っても直ぐに対処ができます。

 

しかし、タブレットを導入する気配がありません。

なぜなら今までタブレット用の予算が無いので、職員にタブレットを渡す発想がありません。

国の予算の考え方は民間企業とは異なります。

既に存在している予算枠はそれのみでしか使うことが出来ません。

タブレットを購入するのであれば、備品ではなく、『タブレット購入費』の予算を新規で作らないといけません。

タブレットは安いものではないので多額のコストは発生しますが、タブレットを導入したことによる書類管理や事務効率化を考えれば効率化に伴う人件費削減で相殺は可能です。

 

で・す・が

そんな考えを持つ人は上層部に誰も存在しませんので、10年後も紙を持ち歩いていると思います。

 

 ⑶ 百あるメリットより一しかないデメリットを評価する

タブレットを導入しないのもそうですが、新しい設備や機能を導入するのにはひどく臆病な職場です。

(例外は国会の肝入り案件のみ)

 

タブレット管理も紙の管理より100個はメリットは存在します。

唯一のデメリットは、タブレットが盗まれてセキュリティを突破された後にある個人情報を悪用された場合です。

タブレットには大量の情報を入れることができますので、情報量としては紙管理とは桁が違いますので、外部流出した際の被害は大きくなります。

 

ですが、盗まれるセキュリティを突破される悪用される

この3点を突破されない限り被害は発生しません。

なのに、唯一のデメリットだけを見て上層部は、紙管理の方が優れていると判断します。

毎年紙媒体での個人情報が流出してるのにも関わらず。

 

日常茶飯事のことは発生しても気になりません。

月一で風邪をひく人が学校を休んでも何も思わないですよね。

けど、風邪なんかひかない友人が休んだら、「何か事件があったのでは」と想像してしまいます。

 

社会もそうです。

タブレットを導入したら悪用された場合の個人情報大量流出リスクの問題を取り上げると思いますが、実際に導入されたらそれが普通になります。

上層部は導入するまでの期間のバッシングを嫌って導入をしません。

 

2 税務署の最先端の手段はFAXでメールを送受信できない

FAX

 ⑴ 国税組織にはタイムラグコストの概念がない

びっくりするかもしれませんが、税務署書類のやり取りはこの3点です。

  •  対面
  •  郵便
  •  FAX

3点の中に、メールは存在しません。

メールでの書類のやり取りは禁止されています。

(一部例外はありますが)

 

メールでの資料の送受信が出来ない場合、次に早い手段はFAXになります。

20年前ならわかりますが、平成も終わるこの時代に、税務署の通信手段の最速がFAXです。

 

e-Taxはありますが、基本的に確定申告書関係した書類しか送信できません

(確定申告書や修正申告書など)

個人番号(マイナンバー)と連動しているので、税務調査などで追加で書類を提出する場合にはe-Tax経由で送信できればいいのですが、残念ながら(当然ながら)上層部にそんな考えはありまえせん。

 

故に未だにFAXを有効活用しています。(皮肉)

 

 ⑵ 税務署はFAXは受信はOKでも送信はNG

FAXについても税理士や納税者から送信することは可能ですが、税務署から送信することは原則NGです。

理由は、税務署が誤って別の番号に送信したら個人情報が流出する可能性があるからとのこと。

(納税者が送信する分には税務署の責任にならなのでOK・・・)

 

確かにご送信による個人情報流出の可能性はありますが、それだけで禁止になるのが税務署。

実際にFAXを使用する場合にも、枚数や発送先のテスト送信決裁など最大限のアナログでの防止策を講じるので、早さを求めているのに事務量を増加させる天邪鬼が存在してます。

 

FAXはあと20年は現役でしょう。

 

 ⑶ メールでのやり取りができない理由のは情報漏洩

FAXが現役だと「どうしてメールが使えないのか」との疑問は当然浮かんできますよね。

こちらの理由も当然外部への情報流出を防ぐためです。

 

税務署ではPCを使用してますが、外部ネットワークとは遮断されています。

唯一繋がっているe-Taxも確定申告関係のみでしか繋がっていないため、ウィルス対策には万全を期しています。(多分)

 

しかしながら、流石にメールを使用しなのは時代遅れも甚だしいところ。

税金も国際化が加速する中で、海外の人とのやりとりも国際電話郵便です。

メールだと数円なのに、メールの100倍、1000倍のコストかけて、郵便でのやり取りをします。

 

因みに税務署からの個人情報流出には敏感ですが、納税者から発送される郵便のリスクは一切考慮していません。

(輸送リスクを考えればメールの方がよほど安全です)

 

メールだと確実に届くのに配達リスクと送料コストを負担させるのは流石公務員です!(自虐)

 

3 改善しない理由は「今までそうしてきたから」だけ

ゴリラ

 ⑴ 全員出勤簿にハンコを押す意味が無い事を知りながらハンコを押す

未だに出勤簿にハンコを押す文化があります。

国税局は部下が上司のハンコを押すのが仕事なので、それならハンコを押す作業自体廃止にすればいいのに誰も廃止の方向に進めません

 

押したハンコは1つ1つ目で確認し、データ入力します。

 

・・

 

・・・?

 

最後にデータ入力するなら最初から各人がデータ登録すればいいのでは??

などとツッコミを入れない文化があるので、ハンコを押す行為が今も残っています。

 

 ⑵ 外部流出のリスクは考えるべき、でもリスクを考えすぎ

個人情報を取り扱っている以上、リスクを最小限にして、情報流出はゼロにしなければいけません。

しかし、それは民間企業でも同様ですよね。

今は国民全員がポイントカードを所持している時代です。

 

ポイントカードなんて個人情報を世の中に流出しているのと同じです。

(ポイントカードを作成している会社が倒産したら、ポイントカードの個人情報を売却して損失に補填するケースもあるので)

「だから個人情報が流出してもいいんだ」とは思いませんが、少なくても公務員は個人情報の流出を恐れ過ぎています。

電子化にしても、大量の情報流出を恐れるあまりアナログ管理を重要視して、アナログ管理のリスクを一向に考慮しません。

 

安全性を99.9%から100%に引き上げるのには莫大の費用が掛かります。

ならば、同じ99.9のままでも、コストが大幅削減できるのであれば選択肢として有用であるので経費削減のために試さなければいけません。

 

 ⑶ アナログ社会が優秀な人材を失う要因

今まで公務員の体質について書いてきましたが、アナログ管理している一番のリスクが人材の流出です。

  •  連絡手段はメールではなく、電話かFAXが最速。
  •  書類も全て紙ベース
  •  決裁も何重にも行う

 

こんな職場で働きたいでしょうか。

国家公務員は社会全体の奉仕者である

公務員の理念です。

確かにそうですが、それ以前に組織は職員が働きやすい環境を整える義務があります。

労働人口が減少している社会において、優秀な人材は争奪戦です。

 

  •  若手の給料は抑えられ、将来の給料は減額
  •  マスコミからはバッシングの格好の的
  •  アナログ社会

就職の選択肢が無数にある中で、こんな組織で働きたいと思いますでしょうか。

結局残るのは、最低限の給料雇用が保証されてればいいと考える職員のみです。

そんな職員が残って組織のクオリティが向上するはずがありません。

 

最終的には国民全体にその被害が拡大しています。

その前にもっと魅力的な環境を作るべきです。

私は税務署でしたが、他の公務員の方の話でも似たような体質とのことでした。

やはり閉鎖的な空間が改善するのは想像以上に難しい現実があります。

 

もし公務員希望の人は閉鎖的でアナログな組織だと頭に入れてください

就職してから気づいては遅いです。

また、組織に職場改善を望むのも現実的ではありません。

組織は現状維持を一番望みますので。

 

ご参考になれば幸いです!