会社を辞めても転職せずにフリーランスとして働く人が増えています。
割合としてはまだ少ないですが、フリーランス市場はこれからどんどん広がっていきます。
フリーランスの魅力としては自分に合った仕事が出来ること。
会社の規則や上司の指示に従わず、自分のやりがいのために働く。
そんな理想を叶えられる手段です。
しかし、フリーランスの現実はそこまで甘くありません。
何も考えてなく会社を辞め、フリーランスになってもただの無職になるだけです。
フリーランスの場合には自分に価値が無いと仕事になりませんので、価値を提供する必要があります。
会社自体も他社との競合の中仕事を得ていますので、取引先にとって何らかの価値を提供できるからであり、会社も個人同様に個性が無いと生きていけない社会です。
(会社は個人に個性を求めませんが)
私は会社員・公務員とフリーランス・起業家のどちらが優位でもないとの認識です。
もちろん人によっては「会社員は楽だよ」とか「フリーランスは自由でいいよ」とか主張はありますが、その主張は一つの側面にしかすぎません。
私は税務署(公務員)を辞めて現在フリーランスとして働いています。
今のところ収入は殆どなく毎日仕事をしている状態なので、公務員時代より収入面では確実に悪化しています。
それでも公務員に戻りたいとは思いません。
なぜなら、フリーランスとしての働き方には満足していますので。
1:自分のやりたい仕事が無いなら転職する必要は無い
⑴ 自分の働く目的がその会社にはないなら環境を変えるのも選択肢
仕事をする目的の第一はお金だと思いますが、もちろんお金だけでは仕事を続けられません。
お金だけでいいのであれば、最も稼げる業種に就職し働けばいいだけです。
でも、実際に一番悩む部分は『やりがい』といわれる働く動機です。
良い環境の職場の事を『やりがいのある職場』と表現しますが、実際にやりがいと表現できる方法はありませんし、やりがいの感じ方も人それぞれです。
会社に長く勤めている方は、自分なりの「やりがい」を多少なりとも感じているからこそ続けています。
例えば、今働いている職場と同じ時間・給料のティシュ配りの仕事があったらやりますか・やりませんか。
1か月などの短い期間であればやるかもしれません。
でも、ティシュ配りを40年やると考えたらやりたくないですよね。
ティシュ配りをやりたくないと思った人は、今の職場とティシュ配りを天秤かけて、今の職場の方にやりがいを感じてた証拠です。
これで納得できる人はそのまま勤めても大丈夫です。
逆に納得できない人が働き方に悩み、場合によっては退職してフリーランスを選択します。
⑵ 転職サイトには自分が働きたい職場環境がない場合もある
数ある転職サイトも基本的には似たり寄ったりです。
非公開求人情報と謳うサイトもありますが、仕事内容がそう変わることはありません。
基本的に変わる部分は収入と福利厚生です。
(それも大事ですが)
起業した会社は求人募集をしませんし、コアな職種はそもそも人数が限られているため大量に募集する必要はありません。
自分の希望を突き詰めると、公の求人に自分の希望と完全に合致するものは存在しません。
SNSや人脈を駆使して直接自分で仕入れた情報には合致する求人もあると思います。
ですが、求人サイトの1ページで自分の希望と突合させるのは困難です。
⑶ 会社が自分を欲していなければミスマッチとなる
求人募集でも条件で大卒や要普通免許などありますが、これだけだと採用されるのは誰でもいいと同じです。
大卒なんて20代なら半分はいますし、普通免許証も相当数が所持しています。
それだけだと全然篩(ふるい)に落としているとは言い難いです。
逆を言えば、会社としてはその程度の篩に残った人であれば誰でもいいのです。
同じ性別・同じ大学・同じ性格でも職場の向き不向きはあります。
採用試験を受ける側としては出されている情報でしか自分に合っているかの判断はできません。
なので、会社から自社の業務の向き不向きを選別されない環境での転職は、会社の体質が自分には向いていないリスクが存在します。
そのリスクを強く感じる人は転職をせず、フリーランスの道を選びます。
2:会社に属すと大勢の中の一人となり個の価値を見出せない
⑴ 会社の歯車としての価値は有るのか無いのかを判断すること
会社員を会社の歯車というと聞こえが悪いです。
しかし、歯車が欠ければうまく回れませんし、噛み合わなければ文字通り会社の歯車が狂います。
歯車にも価値は有りますし、完璧に噛み合った歯車ほどの快感は組織ではないと味わえない感覚です。
でも、歯車の快感を全員が感じるわけではありません。
淡々と一人でやるのが好きな人もいれば、歯車を回す側になりたい人もいます。
歯車であるのならば常に回る必要はどうしても出てきます。
常に回る労力と歯車全てが噛み合った快感
どちらの方がより自分にとって重要視するかで、会社員・公務員orフリーランスの選択肢は変わってきます。
⑵ 会社と共倒れするのに美徳を感じるなら会社に残るべき
昔の武家社会では主君と心中することが武士の美徳でありました。
その名残かはわかりませんが、会社と運命を共にする人も少なからずいます。
自らの意思で運命を共にするなら全く問題ないです。
それが自分が選んだ道ですので。
でも、自分の意思では無く流れるままに会社と運命を共にするならそれほど危ないことはありません。
会社の経営が苦しくなった際に辞めるのも一つの選択肢です。
残る人の気持ちもありますが、優先すべきは自分の体であり気持ちです。
自らの役職は会社から与えられた信頼感でありますので、平社員であるならばそこまで恩義を感じる必要はありません。
⑶ 自分の価値を出せるのは自分しかいない
会社はあなたが最も価値が高まることを期待してません。
会社は会社が最も利益が出るような価値をあなたに求めます。
会社と目指す方向が一緒であればOKです。
でも自分で起業しない限り100%方向性が合致することはありません。
向かう方向が少しズレただけでも、自分にとっては我慢できないズレかもしれません。
自らの価値を最も表現するのであれば、自らその魅力を表現する必要があります。
受け身で魅力が出せる人はこの世に存在しませんので。
3 税務署を退職しても転職しなかったのは転職に魅力を感じなかったから
⑴ 税務署に勤務しても税金の仕事に魅力を感じることはなかった
私は税務署に約12年勤務していましたが、税務署問わず税金関係の仕事に魅力を感じなかったです。
もちろん、勉強にはなりましたし、身に付いた知識もありました。
しかし、税金の仕事に自分の価値を上げられる要素は見つけられませんでした。
税務署の職員として価値を上げるとしたら、税務調査で不正を見つけ、税金を徴収することです。
それも一つの価値であり魅力です。
しかし、税金が直接自分の身に効果を表すことはありませんし、税務署と対峙する相手は(たとえ自業自得だとしても)税金を徴収されることに喜びを感じる人はいません。
税金によって社会インフラなどの恩恵を受けています。
しかし、直接的に実感できるものは少なく、大半は間接的に恩恵を享受しています。
私の場合、税金を集める仕事に魅力を感じなく、対峙する相手に直接的に喜んでもらう仕事ではないため、【職業】税務署が続けられませんでした。
⑵ 税務署辞めて税理士になっても結局は同じ道を進むことになる
税務署は退職しましたが、税理士資格を取得したり、行政書士など他の税金のエキスパートになる道もありました。
でも、公務員であっても民間であっても税の道には変わりありません。
税務署(公務員)は税金を徴収する側の立場
税理士(民間)は税金を納める側の立場
立ち位置は180度逆になりますが、存在する場所は同じ『税』の場所です。
他業種でも同じです。
学校の先生と塾講師では立場は違いますが教える行為は同じです。
生徒に教えるのが好きであれば先生から塾講師に転職するのもアリですが、教えるの自体が好きでなければ塾講師は選択肢としてはありません。
私の場合には『税』の環境から一歩抜け出したかったのでした。
⑶ 会社員や公務員は嫌な事を避ける場所としては適さない
自分でやりたいくない事リストを考えた結果、たくさんありました。
- 営業はしたくない
- 電話は取りたくない
- 苦情対応は嫌
- 悪口には耐えられない
- 飲み会ムリ
会社であれば全てを回避するのは不可能です。
自営業も同様で、むしろ会社員以上に嫌な事に遭う可能性もあります。
ですが、自営業(フリーランス)なら自ら選択し、極力避けることは可能です。
逆に自分のやりたいことの為であれば、嫌な事でも耐えることもできます。
同じことを繰り返すのが嫌いな人でも、ゲームのボスを倒すために何度も繰り返し雑魚キャラを倒してレベル上げはできますね。
サプライズ演出なんて面倒だけど、彼女(彼氏)の喜ぶ顔が見たいから面倒な作業でもやれます。
仕事で好き嫌いを選択できるのは自営業(フリーランス)でした。
⑷ 異業種へチャレンジすることで自分のキャリアを使うことができる
私は税務署で主に相続税・贈与税の担当でした。
私は日本全体で見れば、相続税・贈与税の知識は上位1割に入ることはできます。
ですが、相続税・贈与税を専門にしている税理士に比べれば知識不足は否めません。
つまり、相続税・贈与税の専門知識を持ってても、税理士と知識を競う土俵で戦うのは分が悪いです。
しかし、自らの知識を活用するのであれば、自分の優位なポジションを確保するのが正解です。
私であれば、相続税・贈与税の知識が少ないジャンルに飛ぶこむことがポジション確保の道筋です。
異業種であればライバルは少ないですし、優位性を発揮できます。
その反面、優位性を発揮できるはライバルが存在しないからであって、ポジションは自ら開拓しなければいけません。
未開の地を開拓するのは不安ですし、困難もあると思います。
でも、自ら望んでいない作業を続けるよりかは希望が持てると感じ、異業種へチャレンジしました。
フリーランスの言葉だけで自由になれるはずがない
会社員・公務員を退職してフリーランスになる人は『考える事』を知っています。
考える事をしないで成功するフリーランスはいません。
自由なんて言葉は実は嘘で、自ら確保したエリアを「自由」と呼んでいるに過ぎません。
作られた自由です。
それでも自由は自由です。
別にフリーランスにならなくても幸せになれます。
フリーランスなんて所詮一つの働き方にすぎません。
フリーランスという言葉に惑わされずに、そのまま会社に残る道や転職する道もありますので、その一つとしてフリーランスを検討してください!
ご参考になれば幸いです!