意識高い系の人が発信した情報が、Twitterで大量に『いいね』をされることはよくあります。
もちろん有益な情報もありますが、発信した意図をキチンと理解できていないことが多いです。
例えば、『物価の安い東南アジアに移住すれば、相対的に幸福度が上がる』とのツイート。
東京で月10万円の収入で生活するのは困難ですが、東南アジアであれば優雅な生活ができるとの理由は、一理あります。
ただ、その言葉を鵜呑みにして移住すると、必ず失敗してしまう可能性が。
なぜなら、ツイートの言葉にはその何倍もの情報が入っているからです。
1:東南アジアは確実に日本の物価に追いつく
東南アジアは、発展途上国がほとんどです。
経済的に未発達なですので、物価が安い反面、インフラが整っている地域に関しては非常にコスパ良く住むことが可能に。
ただ、発展途上国が発展途上国のままであるはずがありません。
経済発展が進めば、収入が増えます。
収入が増えれば、給料が上がります。
給料が上がれば、給料の増加分のコストが商品に上乗せされます。
商品が値がりすれば、物価は上昇します。
日本が高度成長期を経て成熟したように、経済発展が進めば東南アジアも日本と同じくらいの物価になることは十分考えられます。
また、日本はバブル崩壊後30年物価はほとんど変わっていませんので、東南アジアとの物価格差は縮まる一方。
(日本は少子高齢化で物価が下がる可能性も)
ですので、10年20年スパンで考えれば、日本の物価と比較して東南アジアの物価が安いとは言えなくなっているでしょう。
2:東南アジアで豊かに暮らせるのはネットビジネスができるから
東南アジアに移住しても、地元で働けば給料は現地の人と同じです。
物価が安くても、低賃金であればコスパは日本と変わりませんので、移住しても豊かな暮らしはできません。
しかし、地元以外で収入を得れるなら話は別。
ネットビジネスは東南アジアに住んでいても、世界水準の賃金で働くことができますので、物価が安い恩恵だけを受けることができます。
・地元で働く⇒低賃金⇒物価が安くても豊かにならない
・ネットビジネス⇒世界水準の賃金⇒物価の安さの恩恵だけを受けられる
Twitter上で東南アジア在住で発信している人もいますが、その人達の収入源は日本の市場で得たお金。
つまり、日本レベルの収入を得る手段があって初めて安い物価の恩恵を受けているだけであり、全ての人がリモートワークをできるわけではありません。
3:物価上昇に対応するには投資運用が必須
物価上昇に対応するには、投資運用が必須です。
数年前、日本の年金暮らしの人が東南アジアに移住して悠々自適な暮らしをすることが少し話題になりました。
しかし、2019年現在、日本の年金で東南アジアに移住して悠々自適な暮らしをしている話は全く耳にしません。
なぜでしょうか。
理由は簡単で、東南アジアの物価が上昇し、日本の年金暮らしだけでは悠々自適な暮らしができなくなったからです。
日本の年金受給金額は、日本の経済状況で多少上下しますが、大幅に増えることはありません。
なので、他国の物価上昇に対応することは不可能。
また、年金は2か月に1回受給できますが、そのお金を事前に運用することはできません。
つまり、受給できる年金をあてに東南アジアに移住しても、物価上昇に耐える資産がないので、その結果生活苦に陥るケースが多くなりました。
物価上昇に対応するためには、自分が保有している資産を投資運用するしかありません。
しかし、投資運用にはリスクがあるので、失敗すれば資産が減少するリスクもあります。
4:頭のいい人は言葉の意味を抽象的に理解している
東南アジアの移住を例にしましたが、頭のいい人は言葉の意味を抽象的に理解しています。
単純に『東南アジアに移住すればいいよ!』とのツイートでも、実際にはこれだけのことを考えています。
- ネットビジネスの収入源がある
- 移住した場合の人間関係も苦にならない
- 物価上昇対策として資産運用をしている
- 物価上昇すれば他の国へ移住する柔軟さがある
この4項目すべて理解し、条件をクリアした上で、『東南アジアに移住すればいいよ!』と発言しているので、単純に『移住=楽ができる』にはなりません。
また、頭のいい人の中には、普通の人のレベルが理解できない人もいます。
どんなスポーツでもすぐに会得できる人は、スポーツが苦手な人が会得できない理由を知りません。
それと同様で、ビジネスに必要な知識や技術を無意識に勉強する人は、勉強する意思がないと学ばない人の気持ちがわかりません。
東南アジアに移住するにしても、移住のリスクを検討します。
しかし、一部の人は移住すれば楽な生活をできると考え、リスクを考慮しないで移住します。
もちろん移住は自己責任ですが、頭のいい人の発言を鵜呑みにすると大失敗をする可能性があることは理解しておかなければなりません。
5:頭のいい人の言葉と『具体化』・『抽象化』すべき
頭のいい人の言葉は難しいです。
言葉自体は簡単なのですが、言葉に含まれている意味を理解するのが大変。
例えば、「野球が楽しい」は抽象的な言葉です。
なんで野球が楽しいのか、「野球が楽しい」の言葉だけでは理解できません。
次に「野球は、バットに当たった瞬間の衝撃が快感」だと、楽しい理由が具体的にわかりますよね
ですが、野球が楽しいと感じる瞬間はバットに当たる瞬間だけではありませんので、野球が楽しい雰囲気を全体で知ることができません。
つまり、抽象的になると全体像が見える反面、具体性に欠けます。
一方、具体的になると、意味を理解しやすくなりますが、ピンポイントすぎて全体像が見えなくなります。
SNSで口論になっているケースの多くは、イメージしている抽象度と具体度が噛み合っていないからです。
野球が面白い・つまらないの抽象度で会話している人と、野球の醍醐味はホームランかピッチングなのかでは、会話は成立しません。
野球が面白い
・9回ツーアウトからでも逆転できる
・ホームランを打てると気持ちいい
・チームで楽しめる
⇒これら全てを含んで「野球が楽しい」
⇒「野球が楽しい」では、「野球の醍醐味は何か」の答えにはならない。
つまり、「野球の醍醐味は何か」の質問に対して「野球は楽しいから」は、求めている具体度が低すぎる。
抽象と具体を理解するには、細谷功さんの『具体と抽象』がオススメです。
4コマ漫画の説明もあって、わかりやすいので抽象と具体を理解するのには適しています。
ご参考になれば幸いです!