税務署職員時代、確定申告の手続きで揉めごとになったのが、税金の納付について。
住民税や国民健康保険料などは納付書が送付されますので、税務署もそうだろうを普通思いますよね。
しかし、確定申告で納付の申告をした事が無い方は馴染みがありませんが、税務署が関係する税金は原則自主納付となっています。
そのため、税務署から納付書が送られてくることはありませんので、要注意です。
1:税務署が未納の連絡をするのは納付期限を過ぎてから
税務署が納付していない人に対して連絡するのは、納付期限を過ぎてからです。
そのため、申告期限内に確定申告書を提出していも未納の連絡が来ることはありません。
また、税務署から未納の連絡がある時は、その時点で既に納税の督促をする状態となっています。
税務署に所得税の確定申告書提出
⇓(やっと確定申告終わったー)
納付期限徒過
⇓(あれ税務署から納付書送られてこないな~)
税務署から督促状の通知
⇓
なんでだー(;゚Д゚)
自主納税制度について知らいない方も多く、私が税務署職員時代にはそれが苦情に繋がる原因にもなっていました。
税務署側の見解では、確定申告は自主申告自主納付制度となっているため、納税者は申告と納付を自らの完了させなければいけないスタンスです。
また、納付期限は申告期限と同じ日時ですので、申告書を先に提出した後日納付する可能性もあります。
(例えば2020年3月16日が申告期限であれば、同日が納付期限となります)
逆に税務署が納付期限内に連絡すると、返って苦情になるケースがありますので、税務署が期限内に納付を催促をすることはありません。
万が一、納付期限を過ぎてしまうと日割りで延滞税が発生します。
納付期限から2か月以内であれば年利2.6%(令和元年)で、2か月を経過すると8.9%(平成31年)と跳ね上がります。
2:税務署の税金は7種類の納付方法がある
所得税の納付方法には、全部で7種類の納付方法があります。
- ダイレクト納付
- インターネットバンキング等
- クレジットカード納付
- コンビニ納付(QRコード)
- コンビニ納付(バーコード)
- 振替納税
- 窓口納付
どの方法で納付したとしても納付金額が変わることはありません。
ただ、納税のタイミングによっては、利用できない方法や所得税以外の税目では利用できないものありますので注意が必要です。
7種類の所得税の納税方法一覧
7種類の所得税の納税方法の一覧になります。
種類 | 納付方法 | メリット | デメリット |
ダイレクト納付 | e-Taxによる簡単な操作で預貯金口座からの振替により納付する方法 | 期日を指定して納付が可能 |
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インターネットバンキング等 | インターネットバンキング等から納付する方法 | 期日を指定して納付が可能 |
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クレジットカード納付 | 「国税クレジットカードお支払サイト」を運営する納付受託者に納付を委託する方法 | クレジットカードのポイントが付く |
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コンビニ納付(QRコード) | コンビニエンスストアの窓口で納付する方法 | コンビニで納付が可能 |
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コンビニ納付(バーコード) | コンビニエンスストアの窓口で納付する方法 | コンビニで納付が可能 |
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振替納税 | 預貯金口座からの振替により納付する方法 | 指定日に自動引き落とし |
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窓口納付 | 金融機関又は所轄の税務署の窓口で納付する方法 | 税務署又は金融機関で納付 |
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デメリットに一部の税目とありますが、所得税など一般的な税金については利用可能です。
また、毎年申告納付が必要になる人や、1回のみの確定申告をする方の場合でメリット・デメリットは変わります。
例えばインターネットバンキング等については便利ですが、利用開始するための手続きが面倒なので、複数回利用しない人には適さない納付方法です。
一方、毎年申告納税する人であれば振替納税を申請すれば納付漏れがありませんので便利な仕組みとなっています。
7つの納付方法の中で、ケース別にオススメなのが4つの納付方法です。
- 窓口納付(税務署に行って申告する人)
- 振替納税(毎年納税する人)
- コンビニ納付QRコード(e-Tax申告する人)
- クレジットカード納付(高額納税をする人)
この4つについて詳細にご説明してきます。
3:税務署に行くならその場で納付書をもらうこと
色んな納付方法がありますが、税務署に直接来署し確定申告書を提出する場合には、その場で納付するか納付書をもらって近くの金融機関で納付するのが一番間違いがありません。
納付書は全国の税務署に設置はしてありますが、納付書に税務署のコードが記載されており、利用できる税務署が指定されています。
例えば、上記の画像だと麹町税務署の納付書なのですが、それを中野税務署管内の人が納付に利用することはできません。
万が一麹町税務署用の納付書で納付すると、申告書の提出先と納付先の税務署が相違しているため、最悪一度納付したが返金され、再度中野税務署宛ての納付書で納める必要がでてきます。
管轄の税務署以外でも別の税務署を設置している場合もあり、職員に依頼すれば、他の税務署用の納付書も作成してくれます。
ただし、確定申告期間など繁忙期については、対応できない場合があるのでご注意ください。
因みに、金融機関に関しては、一般的な店舗を構えている銀行や郵便局(ゆうちょ銀行)であれば納付することは可能です。
もっとも、銀行の窓口業務は大体15時で終わりですので営業時間には注意が必要です。
確定申告期間中で注意するのが、税務署以外の場所を確定申告会場としている税務署です。
税務署に来署して申告をすればそのまま窓口で納付をすることは可能です。
しかし、税務署以外の会場の場合、その場所で納税はできませんので、所轄の税務署か金融機関窓口で納付することになります。
また、日曜日対応をしている場合にはその場で納税はできません。
4:毎年申告する人は振替納税が一番楽な納付方法
毎年確定申告が必要な方で、納付申告をすのであれば振替納税が一番楽です。
所得税の確定申告書提出期限及び納付期限は3月15日ですが、振替納税の場合には毎年4月20日前後に引き落としとなります。
(年によって日にちは変動します)
また、予定納税(一定以上の納税額がある人)に関しても振替納税が適用されますので申告書を提出するだけであとは自動で納税をしてくれる便利なシステムです。
ただ、注意点もいくつか存在します。
- 振替納税の申請が必要
- 指定口座の残高不足には注意
- 転居する場合には再度申請が必要
- 振替納税可能な税目が限定的
振替納税に関しては納税期限までに振替納税申請書の提出が必要です。
また、引き落としの預金残高が無い場合には未納扱いとなり、本来の納税期限の翌日から延滞税の計算が行われますので注意してください。
また、転居した場合には再度振替納税の申請をする必要があります。
税務署によっては別途対応できる可能性もありますので、転居される際は振替納税の申請をした税務署に確認をしてください。
法人税も別途申請は可能ですが、相続税や贈与税は振替納税不可です。
したがって、所得税と贈与税の納税をする場合、所得税の振替納税を申請している場合は、贈与税のみ別の方法で納付することになります。
5:e-Taxを利用する人はQRコード納付が便利
国税庁は平成30年分の確定申告からスマホ申告をアピールしています。
ですが、制度自体は正直微妙・・・
また、マイナンバーカードを度返ししたID・PW方式制度を導入し、税務署の窓口で申請をすれば、マイナンバーカードが無くてもe-Tax申告が可能となりました。
(税務署の窓口に行くならそのまま申告するだろうとは思うのですが・・・)
国税庁はスマホ申告とID・PW方式を推進しているのですが、個人的に良かったのはコンビニ納付(QRコード)です!
従来のコンビニ納付(バーコード式)は税務署の窓口で納付書の作成依頼をしないとコンビニ納付することは出来ませんでした。
ですが、QRコード式はe-Tax登録をしていれば最大30万円までならコンビニ納付が可能になりました。
出典:国税庁HP
現在、利用可能なコンビニは以下のようになっています。
利用可能なコンビニエンスストア(平成31年(2019年)1月4日時点)
- ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ(いずれも「Loppi」端末設置店舗のみ)
- ファミリーマート(「Famiポート」端末設置店舗のみ)
引用:国税庁HP
国税庁HPにQRコード作成サイトがありますので、そこでQRコードを作成しコンビニで納付すれば完了となります。
最大手のセブンイレブンが無いのは残念ですが、これから普及すれば一気に利便性は高まります。
なお、納税証明書の発行には数週間時間が必要になるので、納税証明書が直ぐに必要な場合には直接税務署で納めてください。
6:高額納付ならクレジットカード決済でお得になる
数年前にしれっと、利用可能となったクレジットカード納付。
国税庁が何故渋ったのかは当時から理解できませんが、全然推進してません(;^ω^)
クレジットカード納付は、国税庁が委託した民間会社のこちらのサイトから納付することが可能です。
金額は1,000万円未満まで可能なので大部分の人は問題ありません。
(億り人になった人は1,000万円以上納付するので無理ですが)
また、委託会社への決済手数料として税金以外に費用は発生するのですが、1%前後なので、クレジットカードのポイント還元率と相殺できる金額です。
逆に還元率の高いクレジットカードを所有している方はクレジットカード納付をすることで差額のポイント分お得となるため実は便利なシステムとなっています。
クレジットカード納付の手数料一覧
納付税額 | 決済手数料(税込) |
---|---|
1円~10,000円 | 82円 |
10,001円~20,000円 | 164円 |
20,001円~30,000円 | 246円 |
30,001円~40,000円 | 328円 |
40,001円~50,000円 | 410円 |
※以降、10,000円を超えるごとに決済手数料82円が加算されます。 |
利用可能税目
申告所得税及復興特別所得税 消費税及地方消費税 法人税 法人税(連結納税) 地方法人税 地方法人税(連結納税) 相続税 贈与税 源泉所得税及復興特別所得税(告知分) 源泉所得税(告知分) 申告所得税 復興特別法人税 復興特別法人税(連結納税) 消費税 酒税 たばこ税 たばこ税及たばこ特別税 石油税 石油石炭税 電源開発促進税 揮発油税及地方道路税 揮発油税及地方揮発油税 石油ガス税 航空機燃料税 登録免許税(告知分) 自動車重量税(告知分) 印紙税 国際観光旅客税 国際観光旅客税(告知分)
限度額と利便性を考えた場合、唯一得をする可能性があるのはクレジットカード納付のみです。
ただ、『国税クレジットカードお支払いサイト』を装ったフィッシングサイトもありますので、国税庁HPに掲載されているリンクからご利用してください。
7:どんな方法であれ期限内納付することが大切
どんな納付方法であっても納める税金の金額は同じですが、納付期限を過ぎてしまうと延滞税が発生しますので、納付は必ず期限内に済ませましょう。
また、未納のままでいると税務署の徴収部門が取り立てきて、最悪財産を差し押さえることもあります。
そのため、もし納税ができない場合には、納付期限前に徴収部門に納付方法について相談してください。
ご参考になれば幸いです!