税務署に相談するのは少し勇気がいりますよね。
私も税務署職員になるまで一度も税務署に行ったことがありませんでした。
ですが、意外と簡単に税務署で相談することは可能税です。
怖い税務署職員は、税務調査ばかりしていますので(笑)
でも、もし税務署に相談したとしても、何時間くらい相談できるかわかりませんよね。
所得税の確定申告なら、確定申告期間中に税務署に行けば申告書を提出するまで相談対応してくれます。
ですが、確定申告期以外は税務署職員か税理士以外の人は検討もつきませんよね。
税務署での相談は、一般的な相談(申告期限や申告時期)から個別相談まで幅広く行えます。
個別相談は事前予約が必要ですが、それでも確実に税務署と話せる機会です。
逆に予約が無いと、個別相談には対応してくれない場合もあります。
個別相談では事前に申告書の確認や、法的解釈が合っているかのチェックをすることもできます。
ただし、注意が必要なのは、個別相談の時間は概ね1時間という時間の制限です。
1時間経過しても直ぐに打ち切られることはありませんが、相談予約をする時点で相談時間がだいたい1時間くらいであることは伝えられる場合があります。
との気持ちは理解できます。
私も現役時代は痛感してました。
しかし、国税庁は歳入が増えない事に関してはとても消極的で相談自体は縮小傾向にあります。
そんな個別相談の具体的な質問の仕方・相談の回数・相談回答の信憑性についてご説明してきます。
1:税務署に相談する場合はクローズドクエスチョンで
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンって言葉を聞いたことがありますでしょうか。
オープンクエスチョンは回答範囲が広い事で相手の回答範囲が広い質問をします。
オープンクエスチョンの例
- 趣味は何ですか
- 私の事をどう思ってますか
- 誰のブログを参考にすればいいですか
オープンクエスチョンのメリットとしては相手に会話を広げてもらうことができるので、初対面の方と話す際に便利な手法です。
それに対してクローズドクエスチョンは回答項目が限定されており、相手がYES,NOで回答できるように質問することです。
- 野球は趣味ですか
- 私の事を好きですか
- ヒトデさんのブログは読んで面白いですか
クローズドクエスチョンのメリットは相手の意思表示を明確にする際に有効です。
「○○さんのことどう思っているの?」と聞かれれば(好きか嫌いかの)意思表示を誤魔化すことができます。
しかし、「○○さんのこと好き?」と聞かれれば、好きor好きではないの二択しかありません。
質問の仕方にはいくつかあるのですが、税務署職員に対して質問する場合にはクローズドクエスチョンで質問することが必要です。
例えば、風邪薬が医療費控除の対象となるかどうか質問する場合には、
オープンクエスチョンの「医療費控除の対象となるのはどんなものですか」ではなく、
「この風邪薬は医療費控除の対象となりますか」とクローズドクエスチョンで質問することがポイントです。
「医療費控除の対象となるものはどんなものがありますか」
との質問はとても範囲が広いです。
市販されている医薬品も対象になりますし、原則医療費控除の対象にならない人間ドックの診察代も条件が揃えば医療費控除の対象になります。
でも、確認したいのは医療費控除の対象になる物ではなく、自分が実際に使用した物(支出)が医療費控除の対象になるかどうかですよね。
ですので明確な回答が欲しい場合には税務署側がYES,NOで回答できるクローズドクエスチョンで質問しなければいけません。
税務署は揚げ足を取られるのを一番嫌います。
オープンクエスチョンの場合には範囲が広くなるので、こちらの回答が限定されるクローズドクエスチョンを好みます。
ですので、双方利害が一致するクローズドクエスチョンで質問をしましょう。
因みに税務調査を行う場合には逆でオープンクエスチョンを駆使して、納税者からいろんな情報を聞こうとしますので、その際にはご注意してください(笑)
2:何回でも個別相談はできるが確実にマークされる
個別相談は何回でもできます。特に回数制限はありません。
ですが、何度も相談をすると、確実にその税務署から嫌われます。
嫌われても実害は何も無いのですが、(表向きにはしませんが)他の納税者の予約相談を優先させる場合があります。
税務署にとって相談事務は可能な限り削減したい事務です。
電話相談も相談センターを配置し税務署への電話件数を減らしたり、予約制度も名目上は丁寧な相談対応をするためですが、実情は窓口での相談件数を削減するためです。
(相談件数をコントロールできるため)
なので相談は極力1回で済ましてください。
そのためにも、電話などで事前情報を確認をしておく必要があります。
3:税務署は相談の回答を書面ではしない
税務署で相談することはできますが、相談内容を書面で回答させることはできません。
なので、税務署に相談をした事項で申告した後、税務調査があった場合には自分で取ったメモを証拠にするしかありません。
(税務署の誤指導と認められれば本税のみで加算税・延滞税が発生しない場合があります)
法律には明確に規定されているものもあれば、抽象的に記載されているものがあります。
所得税の確定申告書の提出期限は翌年の3月15日と決まっていますが、医療費控除の対象になる種類は明確に規定されていません。
例えば、人間ドックの診断費用は通常だと医療費控除の対象外になるのですが、診断結果で腫瘍等の悪性が見つかった場合の人間ドックの費用は医療費控除の対象の対象となります。
そんなこと条文のどこにも書いてませんので見解の相違がよく発生します。
税務署が個別相談に対応する場合、部内通達に基づいて対処します。
例えば、所得税の場合、所得税法基本通達という部内通達があり、原則それに基づいて職員は回答することになります。
因みに、国税庁HPや書籍として出版されていますので興味がある方は確認してください。
e-Gov(イーガブ)
また、税務署が個別相談に回答するとしても、情報に具体性が無い場合には税務署はその内容を保証しません。
仮に相談した内容で申告をし、その申告が誤っていた場合であったとしても、前提が異なる場合には税務署は非違を認めません。
一応書面回答をする場合がありますが、とてもレアケースです。
事前照会という方法があり、その手段を使うと書面回答をしてもらうことが可能です。
しかし、
- 手続きが面倒
- 類似回答が存在する場合には回答しない
- 回答をする・しないは国税局の一存
と、一般の人が行うには本当にハードルが高い精度です。
なお、事前照会で回答された内容は回答事例として国税庁HPに掲載されていますので、興味のある方はご参照ください。
(照会者の名前は伏されています)
文書回答事例(国税庁HP)
4:予約のタイミングは3月と7月中旬がねらい目
税務署側が予約して直ぐに相談対応をすることは稀ですのであまり期待しないでください。
それでも、税務署によって混雑状況は違いますので試しに電話するのはアリです。
経験上、予約相談が空いている時期を考えれるのであれば、3月と7月中旬をオススメします。
3月は確定申告時期なので忙しいです。なので、3月中に個別相談をするのは困難です。
しかし、3月に予約をすることで4月に相談をすることは意外と可能だったりします。
7月上旬は税務署の転勤(人事異動)のじきなのですが、後任者のためにあまり先まで予約を埋めないように配慮します。
したがって新任者が配置された直後の7月中旬であればまだ予約が埋まっていないケースがあったりします。
100%とは言えませんが、比較的空いている時期なのでもし相談したい方はその時期を狙ってみてはいかかでしょうか。
もちろん、今から3か月後の相談予約をするのが一番予約できますが(笑)
ご参考になれば幸いです!