前回のあらすじ
何も考えず税務署職員試験に合格したら、初っ端から怒られて集団生活が嫌になった。
以上!
税務署職員歴史の第2回目ですが、私の公務員時代は基本的には黒歴史です(笑)
特に最初の数年は謙遜抜きに、客観的に見てもダメな税務署職員でした。
本当に当時の上司の方々にはご迷惑を掛けてしまいました。
税務署に配置された当初の私は、
- 先輩に一声掛けるにも緊張する
- 自ら行動出来ない
- コピーの流し込み印刷のやり方すら知らない
こんな感じの役立たずでした。
そもそも私は税務署に就職するまで、知らない人の世界に飛び込んだ経験が殆どありません。
3人兄弟の末っ子(既に繋がりが出来ている)
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小学校学年30人(知らない人はいない)
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中学校学年100未満(それでもギリギリ3クラスあった)
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高校の科は1クラスのみ
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同期の同僚は約100人(過去最高)
※バイト経験無
どんだけ知り合いだらけの中で生きてきたんだって話ですが(苦笑)
そんなこんなで、知らない人との話し方がわからないの中、特に嫌だったのが電話対応。
元来私は電話嫌いで、電話のコールを聞くのすら好きではありません。
そんな私が対応しなければならない人は、絶対に(税務署を)好意的に思って相談者からの電話です。
そんなの私にとっては恐怖の極み。
税務署電話をされる方は税務署の職員に相談したくて電話をするのに、応対する人間(私)は相手が何を言っているのかわからない状態でしたので。。
もちろん、電話を掛けて来れられる相談者からすれば専門家である税務署に電話するので、相手が新人だろうが関係ありません。
私の逆の立場ならそう思います。
そんな状況に四苦八苦し、失敗に失敗を重ねた税務署1年目について語っていきます。
1:電話対応が若手税務署職員の最初の仕事
税務署の職員育成システムは完全に旧式です。
基本的な考えとしては「身体で覚えろスタイル」なので、受け身体質の新人職員の評判はまず低いです。
今更になって自ら動くことについての重要性を理解できるようになった私ですが、当時の私からすれば、
な状態でした。
最初に隣の席になった先輩は優しかったのですが、次に一緒になった先輩は相性最悪で生涯TOP3に入るくらい合わない人でした。
真面目に、その方と出会わなかったら税務署職員としての人生は変わってたかもななんて思った入りします。
まぁ、今は自分の意思で動いているので関係無いですが(笑)
そんな、【新人は当たって砕けろ精神】の職場では、新人は最初に電話担当になります。
税務署の電話は主に、税金相談と、税務調査関係の電話なのですが、その取り次ぎは新人が行います。
なお、税金相談については新人がそのまま電話応対するのですが、研修なんぞで勉強した知識なんて1割も役に立ちません。
厳密には役に立つ部分もあるのですが、入れている知識が少なすぎて、実践ではわからないことだらけです。
スラムダンクの第1巻を読んでスラムダンクの良さを知ることなんて不可能ですよね。
気分的にはそんな感じでした。
税務署の電話応対をする際は、原則ワンコール以内に取る必要があります。
ワンコールで取る必要性の理屈なんてありません。
ワンコール以内取らなければいけないのです。
もしツーコールが鳴ってから電話を取ると「遅い」と指摘されたり、逆に先輩が電話を取って、「新人電話取るの遅いぞ」雰囲気が流れます。
たかが電話が取るだけだと思うかもしれません。
ですが、電話嫌いの人間からすると、嫌いな作業をどうして反射的に対応しなければいけないのかと思ってしまいます。
私はそうでした。
今でも覚えているのが、初めて電話を取った時私の手は震えていました。
しかも周りからわかるほどに。
(先輩は震える姿を見て笑っていましたので)
数年経過すれば流石に慣れはしましたが最後まで好きではない仕事でした。
2:税務署の基本は保留と折り返し
税務署側の電話対応の技術として最初に2つ教わります。
- 不明点があれば保留ボタンを押して対応
- 何度か保留をする場合には折り返し連絡をすること
若手が電話を取った状態で回答できる割合は1割にも満たないので、基本的に一旦電話を中断させます。
私が税務署に配属された時はまだ相談センター開設前だったので、様々な電話相談が税務署に直接架かってきました。
ですが今は電話相談センターが開設しているので、税務署にかかってくる電話は難しい内容が多いので今の新人職員の方が大変です。
そんな状態であっても先輩に直ぐに電話交代をしてもらえません。
ですので、保留ボタンを押し、先輩にアドバイスを聞き、そして回答するの繰り返し作業となります。
変な話ですが、相手が怒って電話を切られた場合は税務署側としてはOKです。
逆に苦情に発展する場合はOUTとなります。
苦情は上司や先輩に引き続くことになるので、その場合には電話対応を交代してもらえますが、それ以外に関しては新人でも自己解決しなければいけません。
ですので、何度も保留にすれば相談者から苦情になるし、毎回毎回先輩・上司に質問すると「自己解決しろ」と白い目で見られます。
正に八方塞がり。
そんな中一番やっちゃいけないのが誤った回答をすること。
もちろん相談者の人に対しても失礼ですし、苦情になった場合の対応も苦労します。
私の場合、
なんて何度聞かれたかわかりません。
まぁ、それで身に付いた知識や処世術はありましたが(;^ω^)
3:電話対応で身に付いたのは苦情にならない方法
差別はいけないと社会的には認識されていますが、1人1人全員が偏見がわけではありません。
有り得ないような、時代遅れの相談もありました。
私は20歳くらいの頃、一人の年配者が相談に来署されました。
相談に向かったのは私より一回り上の女性職員の先輩でしが、相談に向かって間もなく戻ってきて私が対応するの様にとのことです。
「まぁ先輩の頼みだしな」と年配者のところへ行くと、その年配者の口から「女性は賢くないから男性職員に相談したかった」と相談担当の交代理由を聞かされました。
私が20歳の頃とはいえ、当時はもう21世紀です。
そんな時代ですらまだ、男尊女卑の考えを持っている人がいることに驚愕しました。
客観的に見て、20歳の若造よりも、30半ばの女性の方が経験豊富で信頼できますよね。
特に公務員であれば。
しかし、現実にはそんなことはありませんでした。
逆に、(当然ながら)若いだけで見下されること日常的なことです。
電話対応でも、私の声の若さだけで露骨に相手口調が上から目線になったり、言葉使いが荒くなったりします。
確かに税務署はサービス業ではないので、丁寧に接しても何も効果はありません。
ただ、接する人はあくまでも『人』ですので説明などはやり方は変化してきてしまいます。
そのような方々に対応する方法として、相手の言い逃れを防ぐ事を第一に考えて対応していました。
相手の言動を引用して回答すると、相手は自分の言葉が返ってくるので言い訳はできません。
「あなたのおっしゃられた話からすると、○○です。」
「先ほど申し上げた事と同じ内容になりますが、△△です。」
ですが、もちろんそれだけでは対応できない場合があります。
特に酷かった経験では、「なるほど」との相槌をしただけで「なるほどとはなんだ」とキレられた事です。
100回、1000回以上使用した相槌でキレられたのは、イライラよりも呆れた気分になりました。
社会には本当に様々な人がいます。
4:研修制度と実務のミスマッチが治らないのが致命的
電話相談などは私の性格に難があった部分もあります。
ですが、1年間を研修を行う税務大学校では、現場のリアルな現状を学ぶ機会は殆どないのも問題です。
現場では「失敗しろ!」と言われますが、一方税務大学校では「ミスをするな、失敗をするな!」と注意されることが多く、研修によって「失敗してはいけない感」が体に染みつきます。
もちろん現場で無いとわからない部分もあります。
机上の上だけで学ぶのには限界がありますので。
ただ、最もダメなのが、研修と実践とのギャップを埋めるための改善手段が存在しないこと。
国税庁(国税局)は、改悪はよく行うのですが、改良はしません。
研修を終えた新人職員は一番生の情報を持った有益な存在です。
しかし、職場に配属されると一番下っ端の意見に変換されるので、そんな意見が1000個集まったとしても、上層部の鶴の一声の前には何も役に立ちません。
そんな虚無感が積み重なって最終益に嫌気がさすのですが…
次回は私が税務調査で心身がおかしくなった話です。
税務調査を受ける立場は嫌ですが、調査する側の立場も辛いことを知っていただければと思います。
ご参考になれば幸いです!