公務員の退職金には、キャリアと勤務年数が大きく影響します!
私は高卒の元税務署職員でした。
税務署職員としての勤務歴は、12年と4か月間です。
そんな、私の退職金の金額は、2,142,760円です!
画像の中央に『退職所得控除額』と記載がありますが、退職所得控除額以内の退職金であれば所得税は発生しません。
(民間企業の退職金でも退職所得の控除はあります)
退職所得控除額の計算式
・ 勤続20年まで
40万円×勤続年数=退職所得控除額
(80万円に満たない場合には80万円)
・ 勤続20年超
800万円+70万円×(勤続年数-20年)=退職所得控除額
※1年未満の勤続年数は切り上げ
私の場合、12年4か月勤務していたので退職所得の控除額の計算上は13年間勤務した扱いとなります。
ですので、40万円×13年=520万円が退職所得控除額です。
私の退職金は額約210万円でしたので、退職所得控除額520万円以内です。
退職金に伴う所得税は支払っていません。
税務署を12年務めて、退職金約210万円はどう思いますでしょうか。
正直ところ、私は退職金が少ないと感じました。
高卒で12年間働いた中では、退職金の金額は多いかもしれません。
しかし、税務署職員として私の約3倍勤務し、定年退職をする職員は退職者は2000万円以上退職金を受け取ります。
勤務年数は3倍で、退職金額は10倍
早期退職が冷遇されているのがわかります。
公務員の退職金の支給、職員自身が関係する条件は3点あります。
- 退職時点の給料
- 経験年数
- 退職理由
3つの要素もはどれも退職金に大きく影響しますので、続きでは1項目ごとに解説します!
なお、税務署職員の給料とボーナスについてコチラをご覧ください。
1:キャリアのみでは退職金の金額には直接影響しない
前提として、キャリア組出身であることで退職金が割増されることはありません。
もちろん退職時点の役職で退職金の計算が変わることはありますが、キャリア組との箔で退職金額に差は出ないのでノンキャリア組の人も安心してください。
国家公務員の退職金(退職手当)の計算は以下のようになります。
退職金の計算方法
退職日の俸給月額×退職理由別の勤続年数別支給割合+調整額=退職金
⑴ 退職する日の給料の金額で退職金額は決定する
退職金の計算上、退職する日の給料を元にして計算されます。
公務員の給料は俸給(ほうきゅう)といわれるもので給料が決まります。
俸給は働いた年数や地位によって変動し、原則右肩上がりです。
右肩上がりの給料システムでは、勤務歴が長いほど給料は高くなります。
ですので、若い人は退職金の計算の元となる給料が安いです。
逆に定年間近の職員の給料は高いので、自然と退職金の金額も高くなるのです。
⑵ 退職金は自己都合退職で勤務年数が短いほどかなり減額される
退職理由は、
- 自己都合
- 定年退職
- その他(公務内外が理由の死亡等)
があります。
退職理由と勤続年数によって掛け率が変化します。
※ 国家公務員退職手当支給率早見表 (平成30年1月1日以降の退職)を参考に作成
勤務年数と退職理由別の掛け率
5年 | 10年 | 25年 | 35年 | 40年 | |
自己都合退職 | 2.511 | 5.022 | 28.0.395 | 39.7575 | 44.7795 |
定年退職 | 33.27075 | 47.709 | 47.709 |
自己都合退職の場合、1年間で約0.5か月分の給料が退職金に加算されます。
しかし、勤務年数を重ねると1年あたりの掛け率がどんどん上昇し、15年勤務辺りから、毎年1か月分の給料の退職金が増加します。
さらに、定年による退職の場合は、数か月分の給料が上乗せされるので、退職金の金額が大きく増加するのです!
⑶ 公務員の中で話題になっている調整額は退職金の減額要因である
調整額は、民間の退職金の金額と均衡をとるための調整率です。
毎年変動する可能性はあるのですが、
平成29年 調整率87/100
平成30年 調整率83.7/100
4.3%も下がりました。
退職金2000万円の場合
・平成29年
2000万円×87/100=1740万円
・平成30年
2000万円×83.7/100=1674万円
退職するタイミングが1年違うだけで、退職金が66万円も下がります。
社会で転職が盛んになると、退職金ではなく、給料を増やします。
そうなると、民間企業の退職金は減少が予想されます。
そうなると、必然的に調整率の割合も減少していくでしょう。
つまり、公務員の退職金は全体として減少していくことになります。
2:退職日直前の給料が退職金に一番影響のある金額
退職金の計算方法
退職日の俸給月額×退職理由別の勤続年数別支給割合+調整額=退職金
※俸給とは、公務員の給料表です。
退職金の基礎となるのは、退職日の給料の金額です。
同じ勤務年数であっても、基本給が50万円の人と100万円の人では退職金の金額も倍違う計算になります。
公務員が公務中に死亡(殉職)した場合の「特進」という言葉は聞いたことはありませんでしょうか。
『特進』は特別昇進の略称ですが、通常の昇給とは別に昇進する制度です。
昇進に伴って給料は上がりますが、それは退職時点の給料にも影響が出ます。
退職金の支給基準は退職日の給料で計算をするので、特進扱いとなった職員はその分だけ退職金が上乗せされる計算される仕組みです。
キャリア・ノンキャリアで、退職金制度に違いはありません。
しかし、キャリア組の方が役職が上ですので、給料もキャリア組の方が高いです。
キャリア=退職金が高いではありません。ですが、ノンキャリア組よりも基本給が高いので、結果的に退職金の金額も多くなる計算となります。
3:公務員を退職する場合、勤続11年で退職金額が増える
勤務年数に応じた、掛け率の影響は大きいです。
下記の図に給料を掛ける(×)のですが、勤務年数によって、割合が変わります。
早期退職をする場合、着目するのが、区切りの勤務年数です。
・勤務年数10年⇒5.022
・勤務年数11年⇒7.43256
7.43256-5.022=2.41056
2.41の差は、給料2.41か月分の違いです。
もし、月給30万円でしたら、72.3万円も退職金が増えるのです。
逆に、10年目で退職すると、72.3万円損することになります。
20代後半から30代前半で72.3万円は大きいです。
私の場合、13年目で退職しましたので、10年目ラインを超えてました。
もちろん、退職金の計算は頭に入れていましたので(笑)
公務員が重要視しているのは、長く勤務している職員に対しての待遇です。
公務員が中途退職をしない大きな理由としても、この退職金制度が存在することが大きいです。
公務員は、行政機関に忠誠を誓うことで成立しています。
変な言い方になりますが、意見を言う職員よりも、素直で使い勝手のよい職員の方が公務員組織として評価される仕組みです。
どんなに公務員として貢献したとしても、自己都合退職であれば退職金は大幅に減額されます。
本来の退職金の趣旨は功労的な意味合いもあるので、国にとっては長期間の労働こそが最大の功労者扱いとなっています。
4:公務員の退職金は今後確実に減少しつづける
今後退職金は減少していく流れは止まりません。
平成29年の調整率が87/100だったのに対して、平成30年は83.7/100でした。
調整率は、民間企業の退職金との差をうめる制度です。
民間企業の退職金が増額すれば、公務員の退職金も増額します。
ですが、民間企業の退職金が増える未来は見えるでしょうか。
民間企業が退職金制度から、毎月の給料の上乗せにすることで対応しようとすれば、退職金額も減少します。
また、定年が65歳、70歳になれば、右肩上がりで給料や退職金を増やすわけにもいきません。
- 退職時点の給料が減少⇒退職金の減額
- 民間企業の退職金の減少⇒調整率の低下
公務員の退職金が増える要素はありません。
退職金がゼロになることはありまえんが、少なくても退職金制度自体が今後の社会の働き方と合わなくなります。
なぜなら、生涯現役なら退職することはありまえんので。
公務員を目指す方は参考にしてください。
現役公務員の方は、辞めるタイミングと退職金の掛け率を考慮しましょう!
ご参考になれば幸いです!