税金って高いですよね。
税務署時代には徴収する側でしたが、個人事業主になってからそれをヒシヒシと感じます(苦笑)
会社員や公務員として働いている人の大半は会社の年末調整で手続きは終わっているので確定申告は関係ありません。
ですが、副業をしている人は基本的には申告が必要です。
気持ちはわかります。
現実問題として、申告をしなければいけないのに申告していない人が一定数いるのは事実です。
(税務署の立場としては申告していない人がいるとはいえませんが)
でも副業が100%バレない方法は存在しません。
今は調査が無いかもしれませんが、副業先に調査が入った場合には申告していないのを税務署が確認できる場合もあります。
また、マイナンバー制度効果で誰が収入を得ているかは以前より容易に把握できるようになりました。
申告していない人は納税義務違反となりますのでペナルティとなる罰金が発生します。
副業を申告しない事のリスクをどう考えるかが問題となりますが、その点について掘り下げてご説明していきます。
1:絶対に副業がバレない方法は存在しない
結論から言えば、副業が100%バレない方法はありません。
たとえバレる確率が1%でも、1%あれば税務調査が入る可能性はあると認識してください。
昔は違いましたが、現代社会で個人間同士で完結するビジネスってほとんどありません。
個人間同士で完結するフリマアプリも、実際にはネット業者を仲介して売買をしています。
法人が仲介をしているならば、税務署はその仲介業者を発端として履歴を追うことができるのです。
またブログなども同様で、ネットの広告収入の元々は法人からなので法人が端緒となります。
まれに個人間で取引している場合があるかもしれませんが、個人間同士で何百万円もの収入を得るのは困難です。
税務署が調査に来ないとの話もあるかもしれません。
ですが、税務署が行かない一番の理由は、税務署職員数が少ないのが原因です。
国税庁の組織は全体で5万人以上在籍しますが、実際に個人の所得税調査を行っているのは多く見積もっても1万人程度しかいません。
所得税の申告書の提出件数は2000万件以上提出されますので、単純に全員に接触しようとしても、1人千件担当しなければいけません。
なので、全員を調査することは現実的な方法ではありません。
また、申告書提出件数の2000万件はあくまでも申告している人の件数です。
そもそも申告していない人の件数は加味されていません。
申告している人の内容は提出物があるのでチェックしやすいですが、申告していない人は所得の把握には特に時間がかかります。
そうなると必然的に効率化をしなければいけないので大口や悪質事案に調査が集中するのです。
2:申告しない場合のリスクとリターンを考える
税務署が調査を行う指針を一口で表現するのは難しいですが(知ってても守秘義務違反になるので言えません)、民間感覚の費用対効果の考え方とあまり変わりはありません。
税務署の調査は適正公平な課税の実現との大義名分はありますが、調査する職員からすれば実働時間よりも利益(調査による税収入)を出さなければいけません。
極端な話、1000円分の税金の申告漏れがある人と100万円分の税金の申告漏れがある人がいた場合どちらに調査に行きますでしょうか。
後者ですよね。
これが税務署の基準ではありませんが、そこまで価値観は違いません。
ただ、民間企業と違う点があるとすれば、誤りを見つけたらたとえ対価に見合わない調査であっても実行に移す点です。
民間企業であれば1000円の収入に1万円の費用がかかるならやりませんよね。
ですが、税務署の場合については1000円の誤りを確認した場合にはたとえ1万円の費用がかかったとしても調査は行います。
そこが民間企業と公務員の一番の違いだと思ってください。
3:合法的に申告不要な場合がある
では会社の給料以外の収入があった場合には必ず申告しないといけないのか。
そんなことはありません。
年末調整が終わっている会社員又は公務員であれば、それ以外の所得が20万円以下であれば申告をする必要がありません。
所得税法
第百二十一条
その年において給与所得を有する居住者で、その年中に支払を受けるべき第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この項において「給与等」という。)の金額が二千万円以下であるものは、次の各号のいずれかに該当する場合には、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額及び課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。ただし、不動産その他の資産をその給与所得に係る給与等の支払者の事業の用に供することによりその対価の支払を受ける場合その他の政令で定める場合は、この限りでない。一 一の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第百八十三条(給与所得に係る源泉徴収義務)又は第百九十条(年末調整)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額の合計額(以下この項において「給与所得及び退職所得以外の所得金額」という。)が二十万円以下であるとき。二 二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第百八十三条又は第百九十条の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、イ又はロに該当するとき。イ 第百九十五条第一項(従たる給与についての扶養控除等申告書)に規定する従たる給与等の支払者から支払を受けるその年分の給与所得に係る給与等の金額とその年分の給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が二十万円以下であるとき。ロ イに該当する場合を除き、その年分の給与所得に係る給与等の金額が百五十万円と社会保険料控除の額、小規模企業共済等掛金控除の額、生命保険料控除の額、地震保険料控除の額、障害者控除の額、寡婦(寡夫)控除の額、勤労学生控除の額、配偶者控除の額、配偶者特別控除の額及び扶養控除の額との合計額以下で、かつ、その年分の給与所得及び退職所得以外の所得金額が二十万円以下であるとき。2 その年において退職所得を有する居住者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税退職所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。一 その年分の退職所得に係る第三十条第一項(退職所得)に規定する退職手当等(以下この項において「退職手当等」という。)の全部について第百九十九条(退職所得に係る源泉徴収義務)及び第二百一条第一項(退職所得に係る源泉徴収税額)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合二 前号に該当する場合を除き、その年分の課税退職所得金額につき第八十九条(税率)の規定を適用して計算した所得税の額がその年分の退職所得に係る退職手当等につき源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額以下である場合3 その年において第三十五条第三項(雑所得)に規定する公的年金等(以下この条において「公的年金等」という。)に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の収入金額が四百万円以下であるものが、その公的年金等の全部(第二百三条の六(源泉徴収等を要しない公的年金等)の規定の適用を受けるものを除く。)について第二百三条の二(公的年金等に係る源泉徴収義務)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び公的年金等に係る雑所得以外の雑所得の金額の合計額をいう。)が二十万円以下であるときは、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額又は課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。
※ 所得税法第121条第3項の規定は、年金収入が400万円以下であれば所得税の申告不要制度を示しています。
所得20万円以下であれば申告不要となるのですが、良く勘違いされる点としては収入20万円です。
収入は文字通り自分の手元に入った金額ですが、所得は計算上税金の対象となる金額です。
例えば、一時所得の計算は
(収入金額ー必要経費ー50万円(特別控除額))÷2=一時所得の金額
となります。
なので、100万円の一時所得があったとしても、10万円の必要経費があった場合には
(100万円ー10万円 ー 50万円 )÷2=20万円
(収入)ー(経費)ー(特別控除額) ÷2 =(一時所得)
となります。
そうなると一時所得の金額が20万円以下に収まるため、年末調整済みの給与所得者であれば税務署への申告は不要となります。
ただし、医療費控除やローン控除の申請をする場合には併せて申告が必要となりますので注意してください。
4:脱税と節税は違う
大変誤解されやすいのが節税と脱税です。
・節税
法律内で行える合法的に支払う税金を安くする行為
・脱税
違法行為によってに税金を低く申告又は無申告とする
同じ税金を安くする方法かもしれませんが、節税であれば税務署は何も言いません。
(内容確認で調査する場合はありますが)
脱税は違法なので、税務署は一切の配慮をしません。
その点は混同されないようにお願いします。
ご参考になれば幸いです!