100年以上前から娯楽として存在する小説ですが、漫画と比較すれば読者は少ないです。
突発的に話題となった作品や、映画の原作となった小説は読むかもしれませんが、最後までいかないで挫折していまう。
そんな経験はないでしょうか。
そんな人にオススメなのが短編小説です!
短編小説は普通の小説(長編小説)にはない3つの魅力があります。
- 1つ作品のページが少ないのでサクッと読める
- 複雑な伏線がないので深く考えなくていい
- 短時間で余韻に浸れる
小説が嫌われる理由として完結までに時間が掛かることです。
映像化された東野圭吾さんの白夜行は1000ページに及ぶ長編作品でした。
読書が苦手で頑張って1日10ページ読んでも100日かかります。
ただ、私はドハマりして、1日10時間かけて一気に読んでしまいましたが(笑)
小説を読まなくても人生に支障はありません。
継続的に小説を読む人の方が少ないはずです。
ですが、小説を読んでわかる余韻や表現が存在します。
小説で使われる技法や表現方法はブログを書く上でも参考になったり、また疑似社会勉強の場となることもあります。
なので、もし小説を読むのが苦手な人も1冊読んでみてください。
それも短編小説で大丈夫です。
でもどれが良い作品かわからないと思いますので、私がオススメする3つの短編小説をご紹介させていただきます!
第3位:夏と花火と私の死体
私が買った時と表紙が全く違います(笑)
凄いポップな感じに
『夏と花火と私の死体』ですが、著者である乙一さんの初小説です。
小説かデビューは20代が多い印象がありますが、乙一さんが『夏と花火と私の死体』を書いたのはなんと16歳!
現在も執筆しているのですが、ちょこちょこ乙一以外の名義でも小説出版しています。
乙一以外の名義
- 安達寛高(本名・映像化する時に使用)
- 山白朝子
- 中田永一
- 枕木憂士ほか
そんな乙一さんですが、一番有名な作品は『GOTH』で、漫画や映画にもなりました。
GOTH【3冊 合本版】 『夜の章』『僕の章』『番外篇』 (角川文庫)
漫画版はこちら⇓
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映画はこちら⇓
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乙一さんの作風は『黒乙一』と『白乙一』と評されるくらいバッドエンドとグッドエンドの作品が混在しているのが特徴です。
『白乙一』はハッピーエンドで終わるような小説ですが、『黒乙一』は終始黒い内容で少しヒステリーな作品もあります。
『GOTH』は『黒乙一』の代表格となる作品ですが、少しボリュームがあるので、『夏と花火と私の死体』をオススメします。
『夏と花火と私の死体』は死んだ「わたし」視点で語られる作品です。
~~あらすじ~~
五月(さつき)は思い切って自分が好きな人の名前を親友に伝えると、親友もまた同じ人が好きであった。
動揺した親友は衝動的に五月は殺してしまい、その場で動揺してしまう。
そこに現れたのは親友の兄。
妹を庇うために、なんとか兄妹で五月の遺体を隠そう試みる二人。
そして、死体となった五月が自分の(死体の)行方を見守ることに。
『黒乙一』の原点の作品なので好みは分かれるかもしれませんが、短編小説ですので読みやすいです。
また、視点が死体と斬新なポジションなのも不気味さを演出します。
第2位:SEVEN ROOMS
すいません、また乙一さんの作品です。
『SEVEN ROOMS』は短編集の『ZOO』に入ってる作品の一つです。
文庫版の『ZOO』は『ZOO1』と『ZOO2』に分かれており、『SEVEN ROOMS』は『ZOO1』に収録されています。
ZOO1と2の合体版もあります。
『ZOO』自体は短編集なのですが、ZOOに収録されている作品の内、5作品(「カザリとヨーコ」「SEVEN ROOMS」「SO-far そ・ふぁー」「陽だまりの詩」「ZOO」)が映像化されており、1つのDVDとなっています。
2005年に公開した作品なので少し昔ではありますが、出演者が結構豪華で、現在だと主役級の俳優が揃っています。
キャスト
- 「カザリとヨーコ」:小林涼子、松田美由紀、吉行和子、木下ほうか
- 「SEVEN ROOMS」:市川由衣、須賀健太、サエコ、パトリック・ハーラン、佐藤仁美、木南晴夏、仲村綾乃、東山麻美、高橋真唯、吉高由里子
- 「SO-far そ・ふぁー」:神木隆之介、鈴木杏樹、杉本哲太、志賀廣太郎、山川建夫
- 「陽だまりの詩」:鈴木かすみ(声の出演)、龍坐(声の出演)
- 「ZOO」:村上淳、浜崎茜
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
※ 陽だまりの詩はアニメーションです。
そんなZOOですが、やはり一番は『SEVEN ROOMS』です。
~あらすじ~
面倒見がいい姉と少し年の離れた弟がある日突然襲われ、狭い部屋に監禁される。
監禁された部屋は兄弟以外にも6つあり、姉弟以外の部屋は全て1部屋に1人収監されその異様さに怯える姉弟。
身体が小さい弟は部屋の隙間から隣の部屋に行くことができるので情報収集のために恐る恐る行ってみることに。
だが、そこに待ち受ける衝撃に兄弟は残酷な現実を受け止めること。
『SEVEN ROOMS』も「黒乙一」に属する作品です。
ヒステリックな登場人物がいるので、サスペンス系が得意ではない人は好みが分かれるかもしれません。
ですが、読み終わるころにやってくる「乙一節」が中毒感を生む作品です。
第1位:未来予報~あした、晴れればいい~
白状しますと、この作品を伝えたいために本記事を書きました。
当然作者は乙一さんです。
言い訳になってしまうのですが、「これぞ!」言える短編小説が中々無いのが難しいところで、乙一さんは結構短編小説を書く小説家なのもあり、ベスト3全て乙一著となっています。
ですが、本当にベスト3が乙一さんの作品であっただけで、私自身のベスト3には変わりありません!
そんな乙一好きの私ですが、ダントツで好きな小説が『未来予報~あした、晴れればいい~』です。
『さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫)』に収録されている短編小説ですが、『未来予報』は60ページも書かれていない短編小説です。
(さみしさの周波数自体も文庫で200ページしかありません)
『未来予報』は乙一作品では『白乙一』に該当する作品です。
でも実際に読んでいくと、白乙一が黒乙一に感じたり、黒乙一が白乙一に感じたりするのもまた乙一ワールドの面白さです。
~~あらすじ~~
たまたまご近所で同じ学区だったので一緒に帰る小泉と清水。
そこに転校してきた古寺がある日突然小泉と清水に「未来が見える」と打ち明ける。
最初は全く信じていなかった小泉と清水だったが、その後に古寺が言った一言が二人の未来を変えることに。
正直、読んだ当時の思い入れが強いのはあります。
(いわゆる思い出補正)
当時作中の登場人物である小泉に何度も自己投影をして反芻しました。
小説は1度読むと中々2度目を読もうとは思いません。
長編小説は尚更です。
でも『未来予報』は10回以上は読み直し、今でも読みたくなる1冊です。
ジョギング感覚で読める短編小説から読んでみよう
短編小説はやっぱり読みやすさが一番の魅力です。
長編小説は熟成されたワインのような味わいを楽しむことができますが、その反面、味わうまでに大変な時間がかかります。
短編小説には複雑な伏線やストーリーが無い分、誰でも味わうことができる新鮮さがあります。
読書が苦手な人が最初から500ページの小説を読むのは至難の業です。
小説はマラソンと同じで、運動不足の人が最初からフルマラソンを走ろうとすると挫折するのと似ています。
でも、マラソンも1㎞のジョギングからなら走れますよね。
小説の場合は短編小説がジョギングに該当します。
長い距離を走る人は1㎞では物足りないのと同様に短編小説では満足できない人はいます。
でも短編小説から読んでいくと自然と長編や続編小説を読みたくなってきます。
100ページにも満たない小説は内容が薄いのではありません。
文章量が少ない分、言葉に込める重みがより大切になっています。
本を読むのが苦手な人は、是非短編小説から読んでみてください。
そして、もし手に取る短編小説の中に『未来予報~あした、晴れればいい~』があれるのであれば、これ以上ない喜びです!
ご参考になれば幸いです!