公務員のボーナスは、月給4か月分以上支給されます。
平成30年の国家公務員のボーナスは、月給の4.45か月分でした。
公務員の給与法案決定 月給とボーナス5年連続増額
(2018.11.6 産経新聞)
※令和元年は0.05か月分上昇の月給4.5か月分になる見込みです。
とは言うものの、月給の金額がわからないと具体的な金額を知ることもできませんし、若手のボーナスは平均よりもずっと少ないですので、あまり参考になりません。
ただ、私は元国家公務員の税務署職員として毎年ボーナスを受け取っていましたので、30歳までに受け取った明細書を開示させていただきますので、ご覧ください。
1:報道されている公務員のボーナスの金額は参考にならない
報道されている公務員のボーナスの金額は、正直参考になりません。
なぜなら、毎年新聞やニュースなどで公務員のボーナスの平均金額が公表されているからです。
⑴ 国家公務員の給料などの情報は誰でも入手できる
では、どうしてマスコミが平均金額を知っているかご存知でしょうか。
実は、毎回内閣官房内閣人事局名義でボーナスについての報道資料がマスコミ周知されており、そこから情報を得ているからです。
ちなみに広報用資料については、ほとんどネット上に掲載されていますので、国家公務員の給与を知りたい場合には、『平成30年 国家公務員給与等実態調査』などで確認もできます。
⑵ 公表されている公務員のボーナスは公表用の公務員に限定された金額
公務員の平均年齢や平均ボーナスの金額が公表されているのですが、公務員の平均ボーナスの金額にはちょっとした仕掛けがあります。
それは、公表されている金額は一般の公務員だけに限定されています。
例えば平成29年12月のボーナスの場合、職員の平均35.9歳となっていますが、対象になっているのは一般職公務員だけで、管理職員は該当していません。
(国家公務員の職員平均年齢は約44歳)
国家公務員のボーナスは月給を反映しますので、月給が高い管理職の方が当然ボーナスも大です。
公表されている公務員の平均ボーナスが65万円であっても所詮(しょせん)はヒラの公務員に限定されています。
そのため、公務員全体の平均ボーナスで考えるのなら、平均額に2割上乗せした金額程度が妥当性の高い金額です。
今から公務員に就職をする人なら、平均ボーナスに達成する玉では最低20年以上勤務することが必要ですし、20年後の公務員はどうなっているかはわかりません。
なので、参考にすべきは、公務員の平均金額ではなく若手職員のリアルな金額です。
2:公務員のボーナスは6月と12月の年2回必ず支給される
公務員のボーナスは、6月30日と12月10日の二回に分けて支給され、支給日が休日の場合には前倒しされます。
また、冒頭で紹介しました公務員の平均ボーナスが約65万円は、1回分のボーナスの金額ですので、1年間のボーナスを計算するなら2倍にしなければいけません。
夏と冬のボーナスでは、少し支給額に差はありますが、ざっくりとした計算でも(65万円×2=)130万円のボーナスをうけとっている計算です。
(計算方法はややこしいので割愛しますが、12月の方が受給金額が多くなるのが一般的です)
3:公務員のボーナスの金額は民間企業の支給状況で増減する
公務員のボーナスの金額は、民間企業の支給状況で増減します。
公務員のボーナスは月給に支給割合(平成30年は4.45か月分)を乗じて計算をしますが、支給割合の判断は人事院が民間企業の支給状況などを総合的に判断を下します。
⑴ 公務員のボーナスの参考になる民間企業は従業員が50人以上の会社
公務員のボーナスが公表されると、
との声が上がります。
その理由としては、公務員のボーナスの参考になる民間企業は従業員が50人以上の会社に限定しているため、ボーナスが一般的な水準よりも高めになっています。
ちなみに、平成29年の公務員のボーナスが月給の4.40か月でしたが、平成30年の調査では民間のボーナスが4.46か月分だったために公務員のボーナスが0.05か月分上乗せされる結果になりました。
参考:平成30年人事院勧告 (別紙第1 職員の給与に関する報告・本文)
⑵ 人事院勧告は法的拘束力がないアドバイス
人事院は、民間のボーナスなどを調査して公務員のボーナスを算出して政府に進言しますが、これを人事院勧告といいます。
また、公務員の給料は法律によって決定しますので、人事院勧告の金額について閣議決定され、公務員のボーナスの金額が確定します。
また、人事院勧告には法的効力はありませんが、よほどの合理性や緊急的な事情がない限りは人事院勧告どおりにボーナスの金額は決定するのが通例です。
なお、地方公務員のボーナスは地方自治体ごとに決定することもできますが、国家公務員のボーナスの金額を踏襲するのが通例なので、国家公務員の支給割合に差はあまり生じません。
⑶ 公務員のボーナスの支給割合は昔よりも下がっている
公務員のボーナスの支給割合は、昔よりも下がっています。
平成20年頃(私が税務署職員になった直後)はもっともボーナス割合は低くかったですが、それ以後は徐々に上昇しています。
<国家公務員のボーナスの変遷>
(昭和時代)
平成以降
一時金支給月数がボーナスの支給割合になるのですが、バブルの時期は5.45か月って今思うと凄いです。
また、給料に関しても民間企業の水準に基づいて行っていますが、それも調査企業は従業員50人以上に限定されているので、社会の実情とはギャップが出ているのが現状です。
4:高卒公務員の30歳のボーナスは年間142万円
税務署職員時代の私の高卒公務員の30歳のボーナスは、年間142万円です。
142万円は私の実額ですが、税務署は税務職なので、給料が少し高いです。
新聞等で公表されるボーナスの金額は、国家公務員の一般職(行政職職員)です。
人事院HPより参照
国家公務員約58.3万人の内、一般職は約28.5万人。
なので、実は国家公務員全体の数字ではありません。
(税務署職員は一般職ですが行政職ではありません)
税務署職員は税務職といって行政職職員よりも約1割程度給料が高いのでその分ボーナスも高くなります。
⑴ 高卒公務員30歳の夏のボーナス(賞与)の金額は659,890円
平成29年6月支給(厳密にはまだ29歳でした)
期末手当 369,117円
勤勉手当 290,773円
合計 659,890円
(支給金額が535,736円となっていますが税金等で差し引かれた後の金額です)
公務員にも普段の業績を評価し、ボーナスが割り増しになる制度が存在します。
実は私は平成29年6月時は優秀な職員扱いになったので、少し多めにボーナスを貰いました。(約4万円)
評価自体は上司の判断(主観)になるのが難点ではありますが、ボーナスのボーナスになるので嬉しいものです。
(私自身、税務署職員として優秀では無かったので2回しかボーナスの割り増しを受けることはありませんでしたが、、)
⑵ 高卒公務員30歳の冬のボーナス(賞与)の金額は761,397円
平成29年12月支給
期末手当 414,315円
勤勉手当 347,082円
合計 761,397円
余談ですが、平成29年途中に様式が変更になりました。
公務員も経費削減と言われているのに、用紙の大きさが10倍になってるが一貫性の無さを表しています(笑)
⑶ 30歳税務署職員のボーナス(賞与)の合計金額は1,421,287円
6月 659,890円
12月 761,397円
合計 1,421,287円
手取りの金額は税金などを差し引かれるので3割カットをイメージすることになります。
(それでも手取金額の合計100万円近くになりますが)
⑷ 公務員の年収は月給から逆算することができる
私の場合、平成29年の月給が約30万円でした。
なので、1年間の給料は30万円×12月=360万円(年間)でした。
月給(30万円)からボーナスを算出すると、30万円×4.40か月=132万円(年間)となるので、実際に支給された142万円とほぼ同等の金額になります。
(平成29年は賞与割増や制度改正もあったので若干差が生じてます)
月給合計とボーナスの金額が判明すればそこから年収を算出することが可能です。
360万円+142万円=502万円
が私の平成29年の年収は約500万円でしたのでほぼ金額は合致します。
(具体的な年収は5,056,731円)
年収の実額の真偽を確認されたい場合はこちらの記事をご参照ください。
5:ボーナスは流動的な賃金のバランスをとっているので完全になくなることはない
公務員や会社員の年収にはボーナスの金額も含まれています。
そのため、毎月の手取り金額が少ない会社でもボーナスの支給額が多ければ年収額は多くなります。
また、ボーナスの割合が大きい理由には、金額調整が可能な側面もあります。
私が公務員として在籍していた時は、ボーナス3.9月分から4.4月分まで半月分の給料相当する金額の増減を経験しましたが、給料でそこまで賃金の大きな変動が考えられません。
そのためある程度公務員の人件費に幅を持たせるために今後もボーナスは支給されるでしょう。
もし、国家公務員の給与が知りたい方は【給与明細公開!】大卒と比べても高卒公務員の年収も待遇も悪くない!をご覧ください。
こちらについては、私の源泉徴収票を掲載してますので、税務署職員のリアルな年収がチェックできます!
ご参考になれば幸いです!