定年が70歳になることが、現実となってきました。
政府が定年を70歳にする理由は、労働者不足と年金制度の立て直しです。
確かに、労働者不足は現在でも発生してますし、年金制度も現状のままだと破綻するでしょう。
しかし、雇用制度は年齢によってメリット・デメリットは異なります。
特に現在の40歳以下の人からすると、70歳の定年延長が悪い方向への改変になることは間違いありません。
- 上の世代が辞めないと出世の枠がない
- 給料は簡単に下げられないので、更に上がりにくくなる
- 労働者が固定され流動性がもっとなくなる
年齢別のメリット・デメリットの詳細は、続きをご覧ください。
1:定年70歳はメリットを受けられるのは50・60代の職員のみ
定年70歳はメリットを受けられるのは、50・60代の職員のみです。
仕事を続けたくない人もいるかもしません。
しかし、定年は強制的なクビです。
仕事を続けたくても続けることができません。
定年延長は、仕事を続ける選択肢が増えただけです。
仕事をやりたくなかったら、その時点で退職すればいいだけで、デメリットはありません。
⑴ 中高年は定年延長により現状の収入を更に維持することができる
中高年は、定年延長により現状の収入を更に維持することができます。
70歳引き上げの恩恵を受けるのは、確実に50・60代の人です。
「定年が引き上げになればいつまで働けばいいのか」との意見もありますが、働きたくなければ途中で退職(リタイア)すればいいだけの話。
そもそも、今の60歳は高齢者になるのでしょうか。
違いますよね。
70歳でも、現役バリバリの人は数多くいます。
国会議員の大多数は60歳以上です。
働きたいけども、年齢で働けなかったことを考えれば、定年延長は歓迎すべきです。
⑵ 中高年が定年70歳になった場合のデメリットは無い
中高年が、定年70歳になった場合のデメリットはありません。
強いて上げても自分より上の世代が抜けない(退職しない)ことですが、そんなのは些細なポイントに過ぎません。
定年延長の理由は、年金制度の維持が難しいからです。
年金受給年齢は今後さらに延長されます。
定年後に同じくらいの年収がもらえる職場は存在しません。
それなら、定年が延長してそのまま居座った方が得なのは間違いありません。
⑶ 定年制度延長が年功序列社会の継続を意味する
定年制度延長が、年功序列社会の継続を意味します。
フリーランスの働き方や転職が増えていますが、全体からすれば、まだまだ微々たるものです。
企業で働いている人で、転職者と新卒者の割合でいえば絶対に新卒採用で働いている人が圧倒的なはず。
そんな環境が一変することは考えられません。
あと10年すれば、労働者不足が如実に表れてくるので労働条件の変化が起きるとは思います。
しかし、変化が起きる前に70歳の定年を迎えれば何も影響がありません。
つまり、定年70歳は50・60歳の人の為にある
といっても、過言ではありません。
2:若年層にとって定年延長はマイナス効果が大きすぎる
若年層にとって定年延長は、マイナス効果が大きすぎます。
働く期間が長くなるなどの、レベルの話ではありません。
正社員の甘い蜜を吸えるのは、中高年だけになってしまうからです。
⑴ 定年延長で新入社員を受け入れる枠が更に狭くなってしまう
定年延長で、新入社員を受け入れる枠が更に狭くなってしまいます。
定年で、50・60代の人が恩恵を受けるのであれば、とばっちりを受けるのは若年層です。
上限の人員が設定されている企業であれば、定年退職で抜ける職員がいないと採用される職員は減少が予想されます。
60歳定年の職員が毎年100人いた企業なら、毎年100人分契約延長をすることになります。
10年間で1000人です。
職員数の維持を考えれば、1000人の新規雇用のチャンスが無くなる計算です。
しかし、現実はもっと厄介です。
中高年層の方が倍以上給料を得ている現状は、若手職員2人分の給料と中高年1人の人件費は同じです。
定年延長で継続して100人働き続ければ、採用枠200人分が減少するといっても大袈裟な表現ではありません。
⑵ どう考えても20代30代にとって定年延長のメリットは無い
どう考えても、20代30代にとって定年延長のメリットはありません。
若年層のメリットを考えたのですが、メリットは無かったです。
60歳定年から一部65歳に延長になったのが、つい10年前です。
40歳の人で考えても70歳になるのは30年後。
今から30年間、ずっと定年70歳が続くとは考えられません。
少なくても75歳定年、又は定年という概念が無くなる考えが現実的です。
定年延長により、入社したい企業に入れないは、若年層はデメリットを被るしかない環境です。
3:若者にとっては定年50歳なる方がメリットが大きい
若者にとっては、定年50歳なる方がメリットが大きいです。
一部企業では、45歳定年を打ち出している会社もありますが、合理的な考え方です。
将来、どのようになる見えないからこそ、定年の担保を無くすべきです。
⑴ 定年延長は人材の固定化に繋がるので人材不足解決にならない
定年延長は、人材の固定化に繋がりますので、人材不足解決にはなりません。
今でも、労働者不足と深刻化していますが、その状況下での雇用延長っておかしいです。
労働者不足は、企業が常に労働者を欲している状態です。
企業が労働力を必要としているなら、早期に退職しても、働き口が見つかるはず。
しかし、定年延長は人材を固定化し、労働力の流動性を抑制していだけです。
本当に必要な人材なら、定年後も企業は契約します。
だとすれば、定年延長を義務化しなくても、企業側が自主的に労働期間延長をするのが自然な流れです。
⑵ 73.9%の会社は10年で倒産するので定年とは無関係
73.9%の会社は10年で、倒産するので定年とは無関係です。
中小企業庁の資料によると、起業から10年間会社が存続できる割合は、26.1%です。
※平均存続率(%) | 1年目からの存続率(%) | |
1年後 | 72.8 | 72.8 |
2年後 | 83.6 | 60.9 |
3年後 | 86.7 | 52.8 |
4年後 | 88.2 | 46.5 |
5年後 | 89.9 | 41.8 |
6年後 | 90.2 | 37.7 |
7年後 | 90.9 | 34.3 |
8年後 | 90.9 | 31.2 |
9年後 | 91.2 | 28.4 |
10年後 | 91.8 | 26.1 |
※開業年が1984年から2002年までの平均
出典:中小企業庁 開業年次別 事業所の経過年数別生存率
11年目以降も9割の会社が存続できても、20年目に残る会社は1割にも満たないです。
そう考えると、就職から定年まで働ける会社の方が極めて稀です。
⑶ 50歳定年にした方が時代に合った働き方が可能となる
50歳定年にした方が、時代に合った働き方が可能となります。
昔は、一つの会社で定年まで働くのが一般的でした。
現状、中高年からの転職は皆無なので転職するのはタブー化されています。
しかし、50歳定年にすれば、50歳から70歳までは自分で職場を探す環境が生まれるのです。
もちろん、生活スタイルに合わせて、週3勤務など勤務条件を変えることもできます。
定年の短縮は、むしろ時代に合っている考え方です。
⑷ 人材の流動性が上がると損するのは若者だが実際には逆になっている
日本は新卒一括採用ですが、本来これは学生にとっては非常に恩恵がある制度です。
一括採用は、何もスキル持っていない人材が企業からイチから施しを受けることができます。
一般的に同じ賃金であれば既にスキルのある人材の方が有利に働きます。
若さをアピールできるのは肉体労働が優位に働く職場のみです。
世界的に見た日本の失業率の低さも新卒一括採用のおかげです。
欧米などは失業率が高いですが、失業者のほとんどがスキルの持っていない若者です。
ゲームの世界でレベル1とレベル10の人が戦ったら、余程初期ステータスに差がない限りはレベル10が勝ちますよね。
当たり前ですが、社会は弱肉強食
なので、本来流動性は中高年が有利なのに実際には中高年が労働者の流動性(転職)に反対し、若年層が流動性に反対すべきなのに流動性に賛成しているのが日本の面白いところです(皮肉)
それだけ自分の価値をアピールするのが下手なだけかもしれません。
(あるいは転職が面倒だったり、自身のスキルが乏しいのを自覚しているのかも・・・)
4:仕事が楽しいと感じないと定年延長する意味が無い
仕事が楽しいと感じないと、定年延長する意味がありません。
今定年を迎えた人が「毎週40時間働きたいか」と聞かれればNOと答える人が多いでしょう。
しかし、週20時間労働なら、働きたい70代が意外と多いはずです。
仕事一筋で、1日のほとんどを仕事に費やしてきた人が、退職したあとの余った時間を有効に使えている人はどのくらいいるでしょうか。
- 大して面白くもないテレビを毎日見る
- あまり好きでもないモノ(趣味)に手を出して失敗する
- 年金の受給金額の変動に一喜一憂する
そんな老後の人生が面白いとは思えません。
それなら週3日くらい働いた方が、休みを有効的に利用できますし、収入も増えます。
今やるべきなのは、定年70歳よりも先に仕事=苦痛のイメージを取り除くことです。
高齢者が元気で笑顔で働くことができれば、若者もそれを目標に頑張ることもできます。
5:これからの時代は定年が存在しない人生設計をすることが必要
これからの時代は定年が、存在しない人生設計をすることが必要です。
橘玲さんの『働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる』は読んで損はない一冊です。
橘玲さんは、定年は年齢差別だと定義しています。
中高年が高年収なのは、技術力があるのが理由です。
しかし、本当に技術力があるなら、クビにする必要はありません。
定年(クビ)にするのは、収入と実力が釣り合っていないからです。
企業も対価の無い中高年を雇う体力はありません。
全員非正規雇用の方が、企業にとっても、労働者にとっても平等な働き方です。
労働人口の減少や、超高齢化社会で、社会構造は一変します。
唯一信頼できるのは、自分自身の技術だけです。
目先の定年延長は無視して、どんな状況でも働ける技術を身に付けることが安心できる材料となります。
ご参考になれば幸いです!