高卒と大卒では、採用条件も環境面も違います。
しかし、税務署職員の学歴格差は想像以上にありません。
高卒の就職窓口は、建築・サービス業・事務職などが多く、大学卒業者よりも働き口の門戸が狭いです。
ですので、高卒で条件のいい職種を探すのは難しいのが現状。
そんな中で公務員、特に税務署職員は高卒で就職を目指す場合には良い条件の就職口です。
私は高卒で税務署職員となりましたので、実体験も交えてご説明します。
1:高卒の税務署職員の採用倍率は高くても10倍以内
高卒の税務署職員の採用倍率は、高くても10倍以内です。
高卒採用は昔は国家Ⅲ種などと言われていましたが、今は、税務職員採用試験(高校卒業程度)といいます。
税務署に就職しようとした場合には、人事院のHPから受験申込をすることになります。
⑴ 税務署職員は各国税局ごとに採用される
税務署職員は、全国11の国税局と沖縄国税事務所のいずれかの採用試験を受けることになります。
国税局は、地域ごとに分類されており、東京周辺では、東京国税局が採用局となります。
東京国税局(84署)
東京都・千葉県・神奈川県・山梨県
⑵ 地方の国税局の採用試験の方が採用倍率が高い
地方の国税局の採用試験の方が、採用倍率が高いです。
国税庁全体で、採用倍率は約6倍です。
(国税局をまとめている機関が国税庁です)
沖縄国税事務所は採用枠が一桁なので、競争倍率が20倍、30倍も珍しくありません。
私が採用されたのはH18年でした。
東京国税局に採用されたのですが、当時の採用倍率は10倍程度ありました。
しかし、団塊世代の退職により採用枠広がっています。
また、人口減少と採用枠の増加により、昔より競争率は下がっているのが現状です。
⑶ 公務員の高卒採用は年齢条件以外の学歴は関係ない
公務員の高卒採用は、年齢条件以外の学歴は関係ないです。
表現として『高卒』を使っていますが、公務員試験のほとんどは受験資格に学歴は関係ありません。
受験資格
① 平成31年4月1日において高等学校又は中等教育学校を卒業した日の翌日から起算して3年を経過していない者及び令和2年3月までに高等学校又は中等教育学校を卒業する見込みの者
② 人事院が丸1に掲げる者に準ずると認める者出典:国税庁 試験概要
高校卒業からから3年以内は、受験資格がありますので、専門学校生やフリーターから受験する人も多くいます。
10年前と比較して高卒採用よりも専門学校卒業の人数は増加していますが、高卒で合格することが困難ではありません。
(10年前は7:3で高卒が多かったですが、今は3:7くらいです)
⑷ 採用試験はマークシートと面接・作文
公務員試験の試験は、マークシートと面接・作文です。
令和元年の税務署職員採用試験の一次試験は、以下の内容です。
基礎能力試験(多肢選択式) 公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験(出題数合計40題) | |
知能分野20題 | 文章理解、課題処理 |
知識分野20題 | 自然科学 |
適性試験(多肢選択式) 速く正確に事務処理を行う能力についての筆記試験(出題数120題) 置換・照合・計算・分類などの比較的簡単な問題を限られた時間内に番号順にできるだけ多く解答するスピード検査 | |
作文試験 文章による表現力、課題に対する理解力などについての筆記試験 |
二次試験は、面接と身体検査になります。
税務署職員の採用試験だからといって、特別な試験ではありません。
他の公務員試験と同様の試験対策が必要となります。
2:キャリア以外の大卒と高卒なら給与面での差はそこまでない
キャリア以外の大卒と、高卒なら給与面での差はそこまでありません。
各国税局に採用される場合には、2種類の道があります。
- 大卒(国税専門官)
- 高卒(税務職員)
※ キャリア組と国税専門官は別です。
⑴ 税務署は年齢計算で大卒が1年早く出世できる
税務署は、年齢計算で大卒が1年早く出世できます。
勤務年数で考えると大卒のほうが昇進速度は早いです。
例 大卒(22歳)、高卒(18歳)で採用された場合
大卒4年目⇨昇進(26歳)
高卒9年目⇨昇進(27歳)
30歳くらいまでは同期のほとんどは均一に昇進します。
出世速度が変化するのは、30歳を超えたあたりからです。
⑵ 同い年の高卒上司と大卒部下は普通に存在する
同い年の高卒上司と、大卒部下は普通に存在します。
民間会社では、学歴で出世の限界がありますが、公務員に関しては学歴格差はほとんど無いです。
(キャリア採用を除く)
特に、税務署の場合で、同い年でも上司が高卒で部下が大卒なケースもごく一般的です。
高卒採用の職員の方がハングリー精神が旺盛なので、その分出世する人が多いのかもしれません。
3:税務署職員は他の公務員よりも基本給が高い
税務署職員は、他の公務員よりも基本給が高いです。
一般的な公務員は行政職(大半の公務員)の俸給(民間でいう給料)です。
税務署職員の場合、俸給は税務職なので行政職より1割程度給料が高いです。
公務員は、税法を取り扱います。
勤務歴23年を超えると、申請すれば税理士資格を得れるほどの高度な知識を必要とします。
仕事の難易度が、給料に反映されているのが税務署職員です。
4:高卒も大卒の転勤前提で通勤地獄は覚悟すること
高卒も大卒の転勤前提で、通勤地獄は覚悟することになります。
学歴で勤務地が変わることはありません。
管理職になれば、税務署によって格があります。
しかし、一般職員はどこの勤務地でも大差はありません。
⑴ 国家公務員は公務の要請でどこへでも転勤する
国家公務員は、公務の要請によりどこへでも転勤することになります。
例えば東京国税局の場合は、千葉県の館山税務署から山梨県の甲府税務署に転勤する可能性があります。
札幌国税局採用なら、北海道全域が勤務地なので、基本的に転居が伴う異動になります。
⑵ 夫婦が税務署職員なら勤務地を配慮してくれるのは片方のみ
夫婦が税務署職員の場合、勤務地を配慮してくれるのは片方の職員のみです。
税務署は1~4年に一度は転勤しますので、どうしても通勤距離が長い税務署に勤務することはあります。
小学生までの子どもがいる場合には、ある程度は配慮してくれます。
しかし、夫婦ともに税務署職員の場合には配慮されません。
妻は、通勤時間30分の場所の税務署に。
夫は、通勤時間90分の場所の税務署に転勤することは、当たり前の光景です。
⑶ 人材交流として他の国税局に転勤することもある
人材交流として、他の国税局に転勤することもあります。
東京国税局採用の人が沖縄国税事務所に転勤することもありますし、全国の国税局から東京国税局に転勤する人もいます。
他局に転勤になる場合には、事前に確認されますが、転勤辞令は他の職員と同じタイミングです。
5:高卒と大卒で仕事内容が変わることはない
高卒と大卒で、仕事内容が変わることはありません。
採用方法と、研修内容が違うので、採用されてからの2年間は違います。
しかし、3年目以降は、高卒も大卒も関係なく同じ仕事をします。
もちろん、性別も関係ないです。
残業も部署によって違うだけで、学歴や性別格差は存在しません。
(キャリア採用を除きます)
6:民間企業の高卒・大卒の差はどうなのか(PR記事)
公務員に就職を考える際には、民間企業への就職も選択肢となります。
『高卒と大卒、就職や年収で学歴の差はでるのか』では、民間企業の高卒・大卒の差について、就職率・転職率・年収などを比較しています。
記事内の内容をすべては記載できませんので、一部をご紹介します。
⑴ 就職と転職では学歴の価値の比重が違う
平成30年3月時点の高卒・大卒の就職率は、双方とも98%台とほとんど同じです。
しかし、就職できる企業は大卒の方が多いので、幅広い職業から就職先を探すのなら大卒が有利です。
一方で、就職後に転職の場合には、学歴格差は無くなります。
なぜなら、転職先の企業は学歴ではなく、実践で活躍できるスキルを重視するかです。
大卒でもスキルが身に付いていない人は新卒と同じなので、給料は下がります。
逆に高卒でも、スキルが身に付いていれば、学歴に関係なく、技術に見合った給料を得ることも可能に。
もちろん大卒でも、スキルがあれば転職に有利になるのは、言うまでもありません。
⑵ 転職には経験・スキル・実績を身に付けることが大事
転職を考える場合には、スキル以外にも、経験と実績もポイントとなります。
いくら知識が豊富であっても、未経験に仕事をお願いするのは躊躇しますよね。
また、採用する側の企業にとっては、転職希望者がどれくらいデキる人かを客観的に判断するには実績も必要です。
- スキル⇒専門知識や専門技術
- 経験⇒仕事を依頼できる信頼度
- 実績⇒客観的に能力を測る目安
転職は就職活動と違い、一括採用ではありません。
個々の能力で採用を判断するので、転職先の企業によって重視するモノサシが異なります。
鉄板ガイドには、年齢や職種によって転職に必要な情報が載っていますので、自分の今の現状にあった情報を得ることが大切です。
⑶ 転職鉄板ガイドとは
『転職鉄板ガイド』は、転職情報・転職口コミサイトです。
一番の特徴としては、5つの条件から、自分に合った転職サイトを検索できる点。
- 職種
- 勤務地
- 年収
- 応募条件
- こだわり条件
また、サイト内では条件別の就職・転職相談記事も多くあます。
先ほど紹介した内容は、サイト内の『高卒と大卒、就職や年収で学歴の差はでるのか』に掲載されている内容の一部です。
『高卒と大卒、就職や年収で学歴の差はでるのか』は、20代高卒向け記事ですが、40代や主婦、海外企業など、今の自分状況にあった記事を見つけることが可能です。
「就職する前に転職サイトを見る必要はない」と思われるかもしれません。
しかし、1つの会社・公務員で定年まで在籍できる人は一握り。
多くの人は、転職や退職を経験します。
口コミサイトには、初めて転職する人や転職に失敗した人の体験談が多く掲載されています。
情報の一つとして、転職鉄板ガイドをご活用ください!
7:高校時代の偏差値なんて関係なく公務員になれる
高校時代の偏差値なんて、関係ありません。
誰でも公務員になることが可能です。
高校を卒業後の進路の過半数は大学への進学で、高卒での就職者は年々減少しています。
税務署の高卒採用も高校卒業してすぐではなく、専門学校を経由して受験する人が増加しています。
そう考えると高卒で公務員になるのは難しく感じるかもしれませんが、決して困難ではありません。
私は偏差値40前半の工業高校から高卒で税務署職員になりました。
工業高校は普通科よりも五科目の時間数が少なかったり、内容が薄かったりするので苦労しました。
ですが、事実、現役で税務署職員になりました。
勉強法については、高卒で国家公務員になった私が実践した勉強方法をご覧ください。
勉強時期については、公務員試験勉強はいつ頃から始めるべきなのか(高卒編)を参考にしてください。
ご参考になれば幸いです!