公務員は政治力が強いから、労働条件が厳しくなることはないです。
2019年5月13日に、トヨタの社長が終身雇用制度の限界について発言をし、話題になりました。
経団連の会長も同様の発言していましたので、2019年が民間企業の雇用制度の分岐点にあることは間違いありません。
しかし、公務員に限っては、あと10年は変化は無いと思っています。
公務員の処遇を変えるのは、法律を変更する必要があります。
政治家にとって法律の改正は、選挙に直接影響します。
公務員にとってプラスにならない法律改正をするれば、公務員が与党に投票するメリットはありません。
政治家にとっても選挙で負ければ無職です。
政治家にとっては、公務員の給与カットのパンドラの箱を開けるメリットがありません。
では、どうして公務員の給与カットをすると、選挙で負けるのかをご説明します。
1:国民がダイレクトに負担する法律が成立すると政治家は選挙で勝てない
国民がダイレクトに負担する法律が成立すると、政治家は選挙で勝てません。
平成で考えると、政治家が選挙で負けたケースは、消費税の増税(創設)でした。
・1988年12月に竹下内閣時に消費税法
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翌年6月の総選挙で、自民党が大敗し政権交代。
・1997年の橋本内閣政権で消費税が5%に引き上げ
⇓
翌1998年選挙で、自民党大敗。
・2012年の野田政権で消費税8%及び10%の段階的増税を決定
⇓
民主党大敗により、自民党に政権交代。
国民にとって、消費税の増税は単純に支出の増加です。
消費税の増税が利益となるのは、国だけです。
自分の生活がマイナスになる、政策を実施した政党を支持する理由はありません。
消費税の増税のすべてで与党が大敗した事実が、それを物語っています。
2:公務員の待遇が悪くなれば公務員関係者は一斉に反対票を入れる
公務員の待遇が悪くなれば、公務員関係者は一斉に反対票を入れます。
給与2割カットを発言しているのは、野党だけです。
過去にみんなの党という政党が公務員の給与カットを公約に掲げていました。
私は当時、税務署職員でしたが、みんな党を支持する公務員はゼロでした。
公務員は自分たちの地位が脅かされれば、それだけ必死になります。
普段は上司の指示に従っているだけの公務員も、選挙になれば別です。
公務員の待遇が悪くなれば、公務員は絶対に反対票を投じます。
3:公務員を家族に持つ有権者は1000万人以上いる
公務員を家族に持つ有権者は、1000万人以上います。
平成29年度の公務員の人数は約332.3万人です。
332.3万人は現役公務員の人数です。
すでに退職した人を含めれば、さらに多くの人が公務員経験者となります。
夫が公務員で、妻と子1人いれば、職員数の3倍は公務員の給与で生活する有権者です。
332.3万人の3倍は、1000万人です。
公務員の給与カットは、1000万人の生活に関係する問題となります。
4:公務員にソッポ向かれると選挙で勝つのは困難
公務員にソッポ向かれると選挙で勝つのは困難です。
日本の有権者はざっくりと1億人です。
公務員関係者が1000万人いても、全体の1割にしかなりません。
しかし、投票率を加味すると話は変わります。
国政選挙の投票率は5割程度です。
有権者の半数は、投票しません。
ですが、普段投票しない人が投票する場合があります。
自分の生活が、脅かされれる政策がされる場合です。
自分たちの給与が2割カットされたらどうでしょうか。
絶対にその政策を実施した政党には投票しませんよね。
投票率5割で考えると、1000万人の公務員関係者全員が反対票を入れたら、影響力は2割にもなります。
与党からすれば、2割マイナスの状態で選挙で勝たなくてはなりません。
実力がある政治家はそれでも勝てるかもしれません。しかし、消費税の増税後の選挙を考えれば、政党として勝つのは難しいです。
つまり、公務員の気分を害する行為をすると、選挙で勝つことができないのです。
5:長期的に考えると間違いなく公務員の労働環境は悪化する
すぐに公務員の労働環境が、悪くなることはありません。
しかし、長期的に考えると、間違いなく公務員の労働環境は悪化します。
第一に、労働人口が減れば国の収入が減ります。
収入が減っているのに、給与を維持するのは不可能です。
公務員の給料は、民間賃金の相場も加味しています。
終身雇用制が廃止されれば、中高年の給料も下がりますので、平均賃金も下がります。
民間賃金が下がれば、公務員の給与も下げざるを得ません。
20、30年後まで考えると、確実に公務員の給与も悪化していることでしょう。
現在の公務員でも、職場環境が悪い職場はあります。
月100時間残業をしている地方自治体も多いですし、精神的に身体を壊す人も多いです。
それでも雇用の安定は、間違いなく公務員が一番です。
最後まで、安定した職を仕事にしたいのなら、やはり公務員が選択肢となります。
ご参考になれば幸いです!