国家公務員は、比較的女性も働きやすく、男性の子育て制度も整っています。
本来であれば、子育てに関する制度の取得率は、男女で差があってはいけません。
しかし、法律が整備されてても、子育て制度の取得率は、男女差があります。
公務員の女性職員の実態と、男性職員の子育て制度に取得状況について、まとめました。
1:女性職員の公務員の離職率は低い
女性職員の公務員の離職率は低いです。
人事院が公表した平成25年度の年次報告書では、平成24年女性の離職率は25~29歳が最高で2.0%です。(行政職)
他の年代よりも男性と比較して離職率はそこまで高くありませんので、結婚に伴い離職する人の割合は低いと考えられます。
特に国家公務員において、結婚等による離職が低い理由は、4点が考えられます。
- 全国に税務署(支店)がある
- 法律は遵守する
- 同業者としての理解
- 公務員ブランド
⑴ 国家公務員の職場は全国に存在するので退職する必要がない
国家公務員の職場は、全国に存在します。なので、退職する必要がありません。
国税庁を例にとりますと、国税庁は11の国税局と1つの国税事務所(沖縄県)があり、税務署は524あります。
国税職員数は5万人を超えているため、かなり大きい母体です。
採用は各国税局を【本店】として考えるため、基本的に採用された国税局(事務所)が管轄する税務署【支店】を転勤します。
例 東京国税局(84署)
東京都・千葉県・神奈川県・山梨県
しかし、本人の介護や結婚など生活に関わる場合には他の国税局に転勤することが認められる場合もあるので、結婚に伴い転居したとしても引き続き税務署に勤務することは可能です。
(その場合所属する税務署のお偉いさんと仲良くなる必要はありますが)
ちなみに、同じ税務署勤務で結婚した場合、100%どちらかは転勤になります。
⑵ 公務員は子育て制度の法律は遵守する
公務員は、子育て制度の法律は遵守します。
国家公務員が法律を遵守しないと、誰も法律を守りません。
なので、法律上規定されている休暇制度や育児・介護休暇などは全て適用することができます。
企業によっては育児休業中も給与を支払う職場もありますが、公務員は制度以上も以下もないでの過度の期待はできません。
⑶ 配偶者が同じ公務員だと理解が得やすい
配偶者が同じ公務員だと、理解が得やすいです。
税務署は納税者の個人情報を扱っているため、仕事の話を家族にすることはできません。
(守秘義務違反になります)
実際、どのような業務を行っているかを理解してもらうのが難しく、特に民間企業に勤めている人からすると理解できない世界観があります。
(飲み会至上主義など)
なので、同業者であれば個人情報を共有することはできませんが(捕まります)、仕事の理解は得れるため、意識の食い違いが少なくなるのは大きなメリットです。
⑷ 公務員ブランドは社会的地位が高い
公務員ブランドは、社会的地位が高いです。
色々あれど、職業公務員は、ローンも組みやすいです。
収入の減少や勤務体系が変化する可能性はありますが、大幅な収入減少やリストラは考えにくいです。
そのため、人生設計がしやすく、夫婦ともに公務員であれば収入に関してはは盤石です。
また、公務員に希望してなった人は安定性を求める人が多いので収入面の価値観の相違も少ないです。
2:夫婦が公務員なら子育ては女性職員が行っているのが現実
夫婦が公務員なら、子育ては女性職員が行っているのが現実です。
子育て制度は、男女ともに取得できるように整備されています。
しかし、私が勤務した税務署で子どもがいる女性職員(夫も税務署職員)と話をすると、男性職員育児等はせず、女性職員が仕事をやりつつ育児を行う人がほとんどでした。
夫婦間の問題もあるとは思いますが、私から見た原因は3点ありました。
- 「育児は女性とやる」という考え
- 男性の勤務地が遠い場所に配属となる
- 上司自身に育児等の経験がない
⑴ 男女ともに育児は女性がやる考えは残っている
制度は存在しますが、現状は「育児は女性がやるもの」とう考えが男女ともにまだ残っています。
同じ仕事なのに育児は妻が行い、その時間に夫は飲み会に参加している光景を数多くみてきました。
夫婦間で納得して分業(?)しているならいいのですが、どうしても親世代は男性が育児参加をしてないため、それを見てきた環境が影響しているかもしれません。
⑵ 男性職員の勤務地は積極的に遠い場所に配属される
男性職員の勤務地は、積極的に遠い場所に配属されます。
地方公務員は、転勤範囲は狭いです。
しかし、国家公務員の転勤は都道府県をまたぐことが普通です。
税務署の職員にとって根深い問題なのですが、小さい子供がいる場合、女性は自宅から近い場所の勤務地、男性は自宅から遠い場所が勤務地(90分~120分)になることが多いです。
国家公務員は、職務の要請があればどこの勤務地であっても国の決定には従わないといけません。
それでも、介護や育児により遠方の転勤が難しい場合には一定の配慮はあります。
問題なのが、勤務地を配慮されるのが、常に女性側のみであることです。
公務員には出勤時間を短くする時短制度があり、給料は減少しますが希望に応じて勤務時間を30分~1時間程度短くすることができます。
(条件はあります)
実際、多くの共働きの職員(片方のみ)がを制度を利用しているのですが、勤務時間を短くしても通勤時間が長ければ相殺されて意味がありません。
その結果、勤務地が遠方になる男性が時短勤務を選択しない原因になっています。
もちろん、男性が時短勤務を選択することもできますし、育児をするために自宅から近い勤務地を希望することもできます。
それでも、私は育児のために、時短勤務を適用した男性職員を1度も見ませんでした。
⑶ 男性上司は子育てに参加した経験がないので理解してもらうのが難しい
男性上司は子育てに参加した経験がないので、理解してもらうのが難しいです。
子育てを終えた女性の管理職の職員もいます。
しかし、男女比は、男性:女性=9:1くらいです。
男性の管理職員で子育てをした経験した人もいます。
しかし、管理職員本人が育児休暇制度を利用した話は、残念ながら聞いたことがありませんでした。
管理者は育児等を行う職員への配慮は研修を通じて学んでいますが、実際に自分が経験したことを前提とする管理者も残念ながら存在します。
それでも以前よりは取得しやすくなっていますので、僅かながら前進はしています。
3:男性の育児休業の取得目標はあまりにも低い
男性の育児休業の取得目標は、あまりにも低いです。
国会等でも、男性の育児休業制度についての取り組みを行っています。
しかし、男女平等とは程遠い数字です。
H26年(実数) 3.1%
H27年(実数) 5.5%
H28年(実数) 8.2%
H32年(目標) 13%
国家公務員の男性職員の「男の産休」及び育児休業の取得促進について
平成30年4月 内閣官房内閣人事局
取得割合の推移からみれば目標数値は妥当かもしれませんが、あまりにも低すぎます。
収入の問題もあるので、全員が取得するのは難しいと思います。
ですが、取得しやすい環境を整えるのであれば少なくても過半数以上はないと少数派になってしまいます。
目標も達成できる割合を設定したとしか思えないので、この辺りも組織としての本気度が薄いのが垣間見れます。
4:公務員は育児休業をする分だけ女性の昇進は遅くなる
公務員は、育児休業をする分だけ、女性の昇進は遅くなります。
(男性も育児休業を取得すれば、昇進は遅くなります)
現状、産休は勤務年数から除外されてしまいます。
なので、昇進の早さでは、産休取得者が不利になってしまいます。
産休も育児を行っているため、そのあたりの配慮が足らないのが現状です。
また、国税庁の幹部の名簿が国税庁HPに記載されてますが、殆ど男性です。
民間企業に女性役員の割合を増やすよう指示をするのはいいですが、まずは公務員が示さないと説得力がありません。
5:税務署の職場は表面上は育児休業を取得しやすい職場
税務署の職場は、表面上は育児休業を取得しやすい職場です。
育児休業をする職員に対し、直接言うこと職員は私は1度も見ませんでした。
しかし、国税庁や国税局は人員の補充を(基本的に)しないので、人員が減少したまま職務を行うことになります。
男性の育児休業を取得した人は1度だけ見たことがありました。
そのぐらいまだまだ稀な事柄として扱われます。
一番嫌だったのが、育児休業を取得する職員がまるで迷惑をかけたかのような振る舞いをしなければならない雰囲気です。
その雰囲気は10年経過しても変化がないので、今後5年10年のスパンでは変化するとこはないです。
6:男性の子育て参加の環境がこれ以上悪くなることはない
男性の子育て参加の環境がこれ以上わるくなることはありません。
法律上は男女平等ですが、実際はまだまだ男女不均衡な状態です。
幹部からは
毎年コピペのような発言がありますが、幹部自身に本気度がみえません。
そのような状況下ですが、国家公務員は、男女ともに申請すれば育児休業などを取得することが可能です。
まだまだ改善しなければならない事項は、山積してます。
しかし、これ以上男女差が広まることはありません。
公務員の待遇は変化しますが、子育てに関しては今後も整備されていきます。
ご参考になれば幸いです!