税務署職員生活 PR

税務署で体験したキツイ相談

怒る
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「親戚の○○がさぁあんな事言ったの、ありえると思う?」

「はあぁ、そうですね(;^ω^)」

 

税務署に勤務していた時は多種多様な相談を受けました。

(税務署なので)税金話は基本ですが、身の上話を聞くこともごく普通でした。

特に私が所属していた資産課税部門は相続税の相談も担当していたので、相続人間のこじれた話なんかもよく聞いていました。

税務署と一切関係ない話は・・・割と普通にあります(笑)

 

そこで今回は、私が対応した相談の中で、大変だった相談をピックアップしてご紹介します!

 

1 景気の波を感じた2度の相談

景気

「将来、親が亡くなった場合の相続税について知りたい」とのタラレバ相談については割と普通なのですが、その理由が親の財産を巡っての兄弟間の相続財産の取り分について揉め事に発展するので、事前に知りたいと来署されるのが相続税の相談の特徴です。

 

昔は(良し悪しは別として)、家督相続が普通だったので長男が全て財産を承継しました。ですが、今は個々の相続人(主に兄弟)が権利を主張します。

そうなると面白くないのが長男

法律上の家督相続は無いですが、現実社会においては長男が家柄を継ぐのがまだ主流です。

なので、長男は両親と同居しつつ、お墓も守り続けます。

その後相続が発生した場合に長男は自らが承継者としての地位を主張しますが、下の兄弟は相続財産の権利は平等なので均等に財産を分けるように主張する。

そうなると兄弟間の仲が険悪となり、人間関係が崩壊することも少なくありません。

 

私が税務署に配属されて数年目の時の話、1人の中年男性が相続税の相談に来署されました。

相談内容としては、「仮に親が亡くなった場合に相続税はどのくらいになるのか」という相談でした。

相談内容は一般的な話でしたが、相続税の金額になると、「相続税は高い」や「自分は収入が多くあり、高額の所得税を納めているのに相続税もこんなに支払うのか」などの苦情が入ります。

税務署にとって「税金が高い」との苦情は「おはようございます!」くらいの感覚なのですが、「収入たくさんあるなら相続税が高いとかイチイチ言うな!」と一喝したら大事になりますので、「そうですよね、相続税の金額が高いですからね~」と相槌をうつしかありません。

遮断すれば15分で終わる話も相手の話の耳を傾けると1時間くらいは時間は掛かってしまいます。

そこで終わるのが普通なのですが、数か月後同じ男性が来署しました。

 

男性は私の事を覚えていなかったのですが、私は認識していたので「また相続の揉め事かな」と思っていました。

ですが、今回は相続税ではなく贈与税や所得税の話。

相談内容を内容を聞くと、どうやらリーマンショックで仕事が無くなったとのこと

つい数か月前は「相続税が高い」とか「自分は所得税を沢山納税しているから」と言っていた人が、今は「税金が払えない」とか「どうやったら税金のかからない範囲で親から財産を移動できるのか」との話にすり替わっています。

公務員はリーマンショックとは無縁かと思いましたが、こんな形で景気の変動を体験するとは思っていもいませんでした。

 

因みに、2度目の終了後には「相続税はキチンと支払いますので~」と笑顔で去っていったのが幸いでした(笑)

 

2 感謝言葉と税務署への苦情が混在した相談

天使と悪魔

これも私が配属されて最初の頃の話です。

電話相談で相談してきた方は女性でした。

相談内容は身内の方に色々あり、それについての話でしたが、相談自体はとしてはごく一般的な内容でした。

新人の私でも説明ができる内容でしたので一通り説明すると、「ありがとうございます、助かりました」と感謝の言葉をいただきました。

 

その言葉自体は嬉しいのですが、そこから身の上話になるのが税務署の相談。

「家族に色々なことがあって本当に大変だったので・・・」

と自身の現在の状況を話されます。

気持ちとしては理解できるのですが、それが1時間以上続くと話は変わってきます。

税務署には電話専門担当がいないので、基本的には電話に出られる職員が出ることになります。

つまり、電話相談の時間の分だけ自身の仕事を圧迫することになります。

それでも「こちらも忙しいので」とも言えないのが難しいところで、結局は相手が納得するまで話を聞くことになります。

(話を遮ると苦情に繋がる可能性があるので)

ここまでは良くある話。

問題は数十分後にかかってきた電話です。

 

電話に出た私は先ほどの女性だと認識しましたが、相手の女性は先ほど対応した職員(私)と認識していませんでした。

しかし、感謝の言葉を述べていた先ほどとは打って変わって、とても強い口調でこちらに苦情を伝えてきます。

苦情の内容を確認すると、どうやら税務署からの郵便が届いたことが他の親族に知られたのに対しての苦情でした。

税務署は基本的に届出をした住所に郵便等を送付しますが、その際には○○税務署と印字されて封筒を使用します。

苦情になった件についても税務署名が印字された封筒で送付したの自体は問題は無かったです。

しかし、税務署に馴染みがない家庭へ税務署からの郵便が届くと「何かやましい事でもあったのではないか」と勘繰る人もいるみたいです。

ですので、苦情を入れてきた女性は、そもそも税務署で手続きしたこと自体を親族には知られたくなかったようです。

 

郵便を送付したのは他部署であり、私の部署の話ではなかったのですが、怒っている納税者に対して電話を中断し電話担当者を変更することは状況を悪化させる原因にもなり、結局また1時間以上電話を応対をしていました。

 

余談ですが、苦情の電話がいつも大安の日に発生していたので私はしばらく大安が嫌いになってました(笑)

 

3 連続4時間の電話相談

時計

確定申告期間には電話相談は途切れることなく電話が掛かってきます。

その時期は常に電話が通じない状況が続くので申し訳ないのですが、人員を増加させる分だけ人件費が発生するのでご理解いただければ幸いです。

 

それはさておき、確定申告期でも確定申告以外の電話相談も応対しています。

(個別の面接相談は受けれない場合もあるので所轄の税務署に確認してください)

もちろん相談される方は確定申告なんて関係ありませんので、単純に電話が繋がりににくい時期というだけですが、それでも確定申告期間中の長電話は時間的にも辛いところ。

 

税務署への長電話の原因の一つに、相談者が最初から引き出したい回答がある場合です。

例えば、住宅ローン控除の質問であれば、ほとんどが住宅ローン控除の手続きに必要な書類の話です。

しかし、中にはそもそも住宅ローン控除の適用に該当しない人も存在するため、「あなたは特例適用の対象外です」と回答するこもしばしば。

それで納得したもらえればいいのですが、問題は「不動産業者が適用できるといった」と適用できる前提で電話をしてきた場合です。

電話をしてきた人は、自分が特例を受けられる前提で税務署のお墨付きをもらうための電話なので要件を満たさない回答をしても納得することはありません。

そうなると堂々巡りの始まります。

「どうして特例が適用できないのか」と、いくら話してもいつの間にか話が最初に戻ってしまいます。

税務署としては何度も同じ話を繰り返しているので、「さっきその話しましたけど」や「もう電話切っていいですか」と言いたいのが正直なところ。

でも、そのような相談をされる人に対して安易に発言をすると、それが火種となり苦情に発展する可能性が非常に高いです。

苦情になると報告書をまとめて報告したりと相当の時間を費やすのでなんとかその場の電話で終わらせなければいけません。

 

私の受けた相談は堂々巡りは果てしなく繰り返し、一向に電話が終わる気配が無い。

1時間、2時間と時間が経過していき、最終的には4時間以上も同じ人の電話応対をしていました。

 

そして、電話が終わった理由が、『今、子どもが帰宅してきた』から。

・・・(;´・ω・)

 

そのときほど、「何をやっていたのだろうか」と感じたことは無かったです。

 

おわりに

 

本当はもっと詳細に説明したいのですが、万が一守秘義務に違反すると私は捕まってしまうので申し訳ございません(苦笑)

守秘義務は公務員に全員に課されていますが、その範囲は退職後も継続します。

国家公務員法
(秘密を守る義務)
第百条 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。
国家公務員法
第百九条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
~中略~
十二 第百条第一項若しくは第二項又は第百六条の十二第一項の規定に違反して秘密を漏らした者
税務署関係の場合はもっと罰則規定は重くなるのですが、いずれにしても法律違反はしたくありませんので(;´・ω・)
受けた個別内容を話すのは(個人情報なので)ダメですが、税務署にどのような相談があるのかを知りえないの状況もまずいと思っています。

 

キレイな世界だと思っていたら実際はドロドロの世界で辞めたくなった。

 

就職する人も、採用先の勤務実態を事前に把握できれば採用試験も受けませんし、採用する側も採用までに掛かった費用を削減し、他の受験者を採用できます。

 

コストとリスクが無い社会は存在しませんが、税務署で働きたいと思う人が少しでも事前に情報がわかれば、無駄なリスクを背負う必要が無くなります。

今後も、話せる範囲になりますが、発信していきます!

 

ご参考になれば幸いです!