税理士は、税務署と納税者の両方の話を聞くのも仕事です。
確定申告を税理士に依頼する場合、報酬を支払います。
それ以外の税理士の役目としては、税務調査の立ち会うこと。
ただ、真面目な税理士ほど、人気がない場合があります。
なぜなら、税務調査に応じた分だけ、税務署に従っている税理士に見えてしまうからです。
1:税理士は税務署の敵でも味方でもない
税理士は、税務署の敵でも味方でもありません。
税務署は税理士が介入した申告書の方が間違いが無いので好みます。
その一方で、納税者の意見を話す立場なので、税務署に好意的でもありません。
⑴ 法律上は税理士は中立の立場なので納税者の味方ではない
税理士は納税者が依頼して委任を受けるので納税者の味方だと認識されるかと思いますが、法律上は中立の立場に位置しています。
税理士法(税理士の使命)第一条 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
税理士の使命は納税義務の履行を助けるものなので、納税者の意見も汲みつつも実際には税務署と納税者の懸け橋となることが理念となっています。
しかし、現実的には税理士も民間業務であり、中立した立場だけを主張していても生活はできませんので、納税者に有利に働くことが一般的ではあります。
⑵ 税理士の脱税指南は資格停止処分になるほど重罪
税理士の脱税指南は、資格停止処分になるほど重罪です。
勘違いされる部分ではありますが、節税と脱税は明確に違います。
節税は、法律の範囲内で税金を安くする方法ですが、
脱税は、法律違反をして税金を安くしようとする方法です。
税理士法(脱税相談等の禁止)第三十六条 税理士は、不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為をしてはならない。
仮に納税者から脱税の依頼があったとしても、税理士は脱税の相談すら法律上は許されません。
税理士の指南の下で脱税が発覚した場合、税理業務停止などの処分が下されます。
なお、国税庁のホームページでは、処分を受けた税理士が公開されています。
2:税理士には2種類のタイプが存在する
税理士には2種類のタイプが存在します。
- 税理士試験を合格した民間出身者
- 税理士試験を免除された元国税職員
法律上の知識では、税理士試験を受けた人が上です。
なので、節税対策は民間出身税理士に依頼する方が確実だったります。
一方、国税出身の税理士は調査には強いです。
税務調査をする側になった経験は、民間出身の税理士には無い経験値です。
また、税務調査をする意図が理解できるのも強みとなります。
3:税務署がやりにくい国税OBの税理士は存在する
税務署が、やりにくい国税OBの税理士は存在します。
税務調査をする職員は、40代以下が多いです。
一方、税務署職員が最短で税理士資格を取得できるのは40歳半ばです。
つまり、OB税理士のほとんどは、調査をする税務署職員の元先輩になります。
⑴ 元税務署長がOB税理士だと税務調査は100%やりづらい
元税務署長が調査先の税理士だったら場合、税務調査は100%やりづらいです。
理由は、税務署の内部事情を把握している部分が大きいです。
民間人になったとしても、重役になればなるほど税務署や国税局との繋がりを維持したままですので。
当然、OB税理士の後輩が現在税務署や国税局の重役になっているも普通です。
露骨なことはしてきませんが、嫌なOB税理士になると手続き等にいちゃもんをつけてくることも無い話ではありません。
⑵ 圧力は見えないから圧力なのでOB税理士の噂が外部に漏れない
パワハラなどの圧力が問題となっていますが、圧力が一番効果的なのが、圧力をかけていなくても圧力がかかることです。
元税務署のOB税理士なら
「このくらいの脱税額なら別にいいだろ!」
みたいな圧力です。
「○○さん(調査先)も反省してますし、今回は勘弁してくれませんかね」
一見お願いのようにも見えますが、これが元自分の上司からの意見ならどうでしょうか。
また、今の自分の上司の元上司だったらどうでしょうか。
うーんって悩みますよね。
税務署は税金額にオマケをすることはありません。
ですが、必要経費の可否判定については類推しなければならない場面もあります。
(事業用と自家用費用の区別がわからなくなっており、経費の判別がむずかい場合など)
法律の解釈に関しては、税理士(納税者)と税務署のせめぎ合いです。
税務署は屈しませんが、中には折れてしまう税務署職員もいるのが実情です。
⑶ 平気で敵対できる国税OB税理士の神経は納税者にとっては有利
税理士は、法律上は中立した立場であっても、実態としては税理士は納税者側の味方です。
報酬をもらっている以上、納税者の意をくむのは当然と言えば当然です。
国税OBの税理士は1年前まで税務調査を行う立場だったのに、いつ間にか調査を受けれる側の人間になります。
大半の国税OBの税理士は協力的なのですが、中には非協力的な税理士もいます。
税務署側の立場上、税務調査には不正把握と内容把握の側面があります。
不正把握については一般的な調査のイメージです。
内容把握とは、申告した内容が正しいかどうか。適用した特例の条件が合っているかどうかを確認することです。
正直、どちらにしても納税者側のメリットは存在しませんし、時間と費用が掛かることは承知しています。
そんな税務署と納税者の利害が不一致な状況下で、税務調査を円滑に行うために税理士が懸け橋の役目を果たします。
ですが、税務署に非協力的な税理士は懸け橋の役目をしません。
税理士が納税者の意見を代弁するのであれば理解はできます。
しかし、税務署が依頼した内容を期限までに行わなかったり、指示した書類を提出しなかったりと、納税者側から見ても不利益なる税理士は存在します。
そんな税理士が税務署から見ると非常に厄介だったりします。
3:国税庁はもっと税理士を利用してほしいと思っている
国税庁はもっと税理士を利用してほしいと思っています。
一番の理由は、税務署職員の労働時間の削減です。
- 税務相談
- 申告内容の訂正
- 税務調査
税理士が申告書を作成することで、税務署はこれだけの事務が削減できます。
⑴ 国税組織は税務相談は全て税理士に一任したい本音
国税局は税務相談事務を廃止したいと考えています。
税務署は税金を集める機関であり、相談窓口ではない
表向きはそんなことは発言しませんが、そのような趣旨は日常的ににじみ出ています。
そうなると大事なのが納税者に自主的に申告をしてもらうことです。
でも、1年に1度の申告内容を毎年熟知するなんてできないです。
(私も今年から大変です(苦笑))
そうした場合に必要になるのが税理士です。
税理士業務は無償(タダ)で行ってはいけないのですが、確定申告期は国が依頼して税理士に相談会などを開催してもらっています。
(全国の税理士支部で無料相談会などは行っています)
「税理士に依頼するなら職員がやれ」と思うかもしれませんが、確定申告期の職員は限られています。
また、確定申告期間であっても国税局は法人調査は継続して行う意向があり、相談対応の不足分を税理士に依頼しています。
将来的には納税者が自主的に申告を完結するか、税理士に依頼することを目標としています。
⑵ 税理士資格を持っているだけで優秀だと思ったらひどい目にあいます。
税理士資格を持っているだけで優秀だと思ったらひどい目にあいます。
税理士は全国で77,947人登録されています。
出典:日本税理士会連合会
国税庁の組織全体でも5万人なので、税務署職員よりも2万人以上多く在籍してます。
しかし、これだけ人数が多ければ、税理士にも差が出ます。
税理士によって専門も違いますし、知識の新旧も違います。
中には知識がアップデートされずに事務員の方が優秀な事務所も平然とあるので、事務所の設立年数だけで判断するのは危険です。
個人的な意見としては、大手の税理士法人は大口顧客を抱えているため専門的な知識は強いですが、税務署との関係性は良くない場合があります。
個人事務所の税理士の場合には、専門的に対応する税理士がオススメできます。
専門分野の税金ではないと、他の税理士を紹介する税理士もいます。
しかし、他の税理士を紹介するのは、納税者の不利益ならないようにするためですので。
⑶ 税務署にとって都合の良い(悪い)税理士はマークされている
税務署にとって、都合の良い(悪い)税理士はマークされています。
税務署の部署単位で、どの税理士(税理士法人)がどの税目に強いか弱いか、調査に協力的かは認識しています。
大手の税理士法人などでも、実は税務署から嫌われているケースもあります。
また、税理士を喰いものにしている税理士も存在します。
違法ではありませんが、あまりよい印象は持ちませんので、税務調査などでは敵対するケースが多くなります。
4:税務署が税理士を紹介することはできない
税務署が税理士を紹介することはできません。
税理士を紹介する行為は、便宜を図ったこととなり、処分の対象です。
なので、税務署は税理士会を紹介するようにしています。
しかし、税理士会が良い税理士を紹介するとも限りませんので、一番合理的に税理士を探す手段は、ネット検索になります。
税理士ドットコムは、全国から専門税理士を検索することが可能です。
税理士斡旋サイトが、100%信頼できるとは言い切れません。
ただ、斡旋した税理士の評判が悪ければ、その税理士は紹介を受けることはできなくなります。
となると、必然的に対応が丁寧になる税理士が多くなるのです。
若い税理士は最新の税法にも精通していますので、思い切って税理士を変更するのも選択肢です。
ご参考になれば幸いです!