友人や知り合いに公務員を辞めたことを伝えると、「もったいない」と言われます。
「もったいない」は、公務員の立場を評価しての発言です。
ただ元税務署職員の私からすると、公務員の括りはあまりにも広すぎます。
- 公務員⇔会社員
- 大企業⇔中小企業
- 日本の会社⇔外資系
働く場所の外側だけみても、本当に働きたい職場かどうかはわかりません。
むしろ公務員の肩書だけで就職すると、後悔する可能性があります。
公務員に就職して、やりたい目的はありますでしょうか?
1 【職業】公務員は多種多様であり、一括りにはできない
就職シーズンの学生なら就職先を会社員って答える人はいませんよね。
仮に会社員と答えたら、「何の仕事するの」と聞かれるはずです。
しかし、公務員のばあいには「公務員で働くんだ」と答えるだけで納得されることが割と普通です。
実際、中学生の将来なりたい職業ランキングでも『公務員』がランクインしています。
(男子が6位で、女子が4位)
出典:ソニー生命 中高生が思い描く将来についての意識調査2017
でもよく考えると『公務員』って回答は不思議な話で、「なりたい職業は球技」と回答しているようなもの。
そのくらい周りは公務員の仕事内容に興味がないのです。
(中学生にそこまで求めるのもアレですが)
国家公務員
- 税務署
- 外交官
- 刑務官
- 海上保安官
- 自衛隊
地方公務員
- 警察官
- 教員
- 市区町村職員
国家公務員と地方公務員の業種を思い浮かべただけでも沢山あります。
「警察官になりたい!」
「学校の先生になりたい!」
(海賊王に俺はなる)
警察官など、具体的な業種を掲げてそれを目標(就職先)とするのなら一向に問題ありません。
ただ、単純に「公務員になりたい」と思うのであれば、その選択が後悔を招く可能性が非常に高いです。
2 公務員が向けられる目線は想像以上に冷たい
基本的に公務員が社会から褒められる環境になることはありません。
100あるプラスの出来事は1にされ報道されます。
1のマイナスの出来事は100にして報道されます。
平気な人や慣れる人は公務員になる素質がありますが、打たれ弱いは要注意です。
公務員=自分の考えてになってしまうと、たとえ全く別の業種の公務員が批判されていたとしても、常に自分が批判に晒されている感覚に陥ります。
小さな傷でも毎日傷がつけば酷くなり、そのまま放置することで病気になる職員は多く在籍します。
また、あまり知られていませんが、公務員には精神的な病気なる人が多いです。
「公務員の仕事は楽」、「公務員なんだからしっかり働け」
真面目な人ほど心無い言葉に胸を痛めてしまうのが現状です。
公務員は社会全体の奉仕者として職務にあたります。
国民、市民からの指摘や意見は、的を得ているものが多いので改善をしなければいけません。
しかし、残念ながらストレスのはけ口として暴言を吐かれたり、理不尽な行為をする人は一定数存在します。
民間企業であれば、慈善事業ではありませんので、クレーマーを排除することができますが、公務員の場合にはそれができません。
たとえクレーマーだったとしても、その人も社会全体の一人ですので。
3 事務の効率化を図れない無力さほどキツいことはない
良い会社は顧客の声を瞬時にフィードバックして改善する会社です。
残念ながら公務員全くフィードバック機能が作動しません。
- 現場でいくら改善した方がいい作業があってもそれを直してはいけない
- 上級機関からの指示は絶対
- 理不尽な対応は現場で受けるが、上級機関の人から見れば知ったことではない
- 形式上は改善要望を提出できるがそんな要望は一切通らない
- THE・保身の業務だけが増える
こんなことは日常茶飯事で、感覚が麻痺するくらいです。
(寧ろ、麻痺させないと仕事ができません)
因みに、国家公務員法という法律では、上司の命令に従う義務という規定があります。
組織を運営するためにはトップの指揮に従うことが効率的になるので条文の趣旨は理解できますが、上司の命令は、その指示が間違っていても従わなければいけないのが大変でした。
明らかな違反(「法を犯しても捕まえろ」など)については除外されますが、判断がつかない又はあやふやな場合には上司の指示には従わないと指示を受けた人間が罰則の対象となります。
昨年仮装通貨の税金についての取り扱いが議論になりましたが、税務署の職員は国税庁や国税局の命令に従うのみなので、それまでは一切回答できませんでした。
上司が右を向けば右を向く
これに疑問を持つ人は公務員はとてもやりづらい環境です。
4 それでも公務員になりたいのであれば
かなりマイナスな意見ばかり述べてきましたが、それでも公務員になりたい人(なって大丈夫な人)はいらっしゃると思います。
私が考える公務員になっても大丈夫な人は、以下の人達です。
・ 絶対にやりたい目的がある
(例 小学生に算数を好きになってもらいたい)
・ 公務員の待遇があれば仕事内容は関係ない
(例 苦情等を受け流せる)
・ 職場内での処遇を比較しない
(例 まったく仕事をしないオヤジが倍の給料を貰ってても何も思わない)
大事なのは公務員になることに自分の目的(理由)を持つことです。
ただ何となく公務員になると、自分自身が苦しむことになりますので。
ちなみに、昨今公務員も社会人枠として新卒以外の枠が設けられています。
30~40歳くらいの人も公務員務になれる可能性はありまので、興味のある方は国税庁HPをご覧ください。
国税庁HP 経験者採用試験 ⇩
ご参考になれば幸いです!