確定申告の還付金支払いが遅い理由は、3種類あります。
- 事務手続きのトラブル
- 申告した人のミス
- 税務署のミス
確定申告書の内容が間違っている以外にも、税務署の事務処理ミスも結構多いです。
私も税務署を退職後に確定申告をしましたが、案の定、還付金の支払いは遅かったです。
元税務署職員しか知らない、還付金の支払いが遅い内部事情をお教えします。
1:確定申告のタイミングで還付金の支払い時期も変わる
確定申告のタイミングで、還付金の支払い時期も変わります。
還付金の支払いスピードは2つの要素が関係します。
- 電子申告か、書面での申告か
- 2月以前か、3月以降の申告か
電子申告(e-Tax)
・1~2月に申告書を提出した場合
2,3週間以内
・3月以降に申告書を提出した場合
3,4週間以内
書面提出(窓口提出、郵送提出)
・1~2月に申告書を提出した場合
1か月
・3月以降に申告書を提出した場合
4~6週間程度
Q42 還付金はどのくらいで還付されるのですか。
A 還付金については、速やかに支払手続を行うよう努めておりますが、申告書の記載内容や添付書類等の審査など、支払手続を適正に行うための所要の処理を正確に行う必要があることから、その支払手続にはある程度の日数が必要となります。
特に、2月・3月の所得税及び復興特別所得税と消費税及び地方消費税の確定申告期間中は、大量の申告書が提出される時期ですので、還付金の支払手続にはおおむね1か月から1か月半程度の期間を要することをご理解ください。
- ※ 自宅や税理士事務所からe-Tax(電子申告)で提出された還付申告は3週間程度で処理しています(e-Taxで1月・2月に提出された場合は、2~3週間程度で処理しています。)。
出典:国税庁HP 税金の還付
早期に申告書を提出して、一定の期間を経過しても還付金が返ってこない場合には、税務署で何らかの問題が発生しています。
申告書の記載が間違っている場合が多いのですが、意外と税務署の事務処理が滞っているケースも多いです。
2:申告書を2回提出するとそれだけで還付が遅くなる
申告書を2回提出すると、それだけで還付が遅くなります。
確定申告書は、期限内であれば、再度申告書を提出しても問題ありません。
期限内の申告書の提出し直しは、訂正申告いいます。
訂正申告書を提出した場合、申告期限の最後に提出した申告書が有効として取り扱われます。
平成31年2月20日に申告書の提出
⇓
平成31年2月28日に2度目の申告書の提出
⇓
平成31年3月15日に3度目の申告書の提出⇒有効となる申告書
気をつけないといけないのが、先に提出した申告書の内容は上書きされてしまうこと。
申告漏れがあった場合、漏れいてた部分だけを申告すればいいと勘違いしますが、それは違います。
申告漏れがあった場合、先に提出した申告書の内容も記載しないと、無効化されてしまいます。
実は、訂正申告書の提出ミスはかなり多いです。
1度目の申告書ではローン控除の申告をし、2度目の申告書(期限内)では医療控除のみを申告すると、ローン控除が適用されない状態となります。
また訂正申告書を提出すると、当初申告との違いや、どちらの申告書が正しく作成してあるかなどの見極めが必要です。
もし訂正申告書に記載してある内容に漏れがあるなら、再度申告書を提出してもらわなければいけないので、税務署の立場としては確認すべき作業が以外と多いのです。
申告書の提出時点では適切な申告であると認めた場合に、税務署は還付金の支払いを行います。
複数の申告書の提出があると、確認作業が必要となるため還付金の支払いは後になってしまうのです。
3:申告内容に誤りがあった場合でも税務署からの連絡は遅い
申告内容に誤りがあった場合でも、税務署からの連絡は遅いです。
申告書を提出する場合、どんなにチェックしてもミスは起こるものです。
申告した人のミスで、還付金の支払いがストップするケースは2つです。
- 提出した申告書の記載誤りがある
- 申告書に添付する書類が不足している
提出した申告書に誤りがあった場合には、修正申告書を提出することになります。
ただ、申告した時点で間違いがあると誰も思っていませんので、税務署から連絡があるまでは気が付きません。
一方、添付書類に関しては、法定添付書類と任意添付書類で分かれます。
任意添付書類は法的な規定はありませんので、添付がなくても問題ありません。
(自営業の経費のレシートなどは添付義務はありませんが、自宅で保存しておく必要があります)
法定添付書類は、法律で申告書に添付義務がある書類です。
平成30年分までであれば、サラリーマンの源泉徴収票などが該当します。
(平成31年分以降は添付省略される可能性があります)
法定添付書類は、本来申告書と一緒に期限内に提出する必要があります。
ですが、源泉徴収票などは税務署もわりと緩いので、後から提出してもあまり問題になるケースはありません。
(特例適用を受ける場合には、期限内に書類をきっちりそろえましょう)
ただ、添付書類の提出がが無ければ、申告書は不完全扱いです。
そうなると、添付書類の提出が確認されるまでは、税務署は還付金の支払いをストップします。
ちなみに、添付書類不足は提出が確認されれば税額に変動がないので、税務署での優先順位は低いです。
したがって、還付金の支払いも後回しとなります。
4:税務署職員のミスで還付金の支払いが遅れるのはあるある話
税務署職員のミスで、還付金の支払いが遅れるのは、あるある話です。
本来、税務署職員の人的ミスはあってはいけません。
万が一、納税者から連絡が無かった場合、還付金が支払われないことも考えれます。
税務署の人的ミスは、残念ながら毎年発生します。
今後も改善されることはありません。
- 書面の申告書の管理
- アナログ管理体制
- 特定の職員の注意力散漫
特定の職員に関しては、イメージの悪い公務員を想像してもらえば大丈夫です。
少数ではありますが、本当に役に立たない職員は実在しますので。
(担当している申告書を放置している職員は各税務署に1人はいます)
実際に人的ミスとして多い原因は、申告書の管理体制です。
国税組織はe-Taxを推進していますが、所得税の申告書のオンラインの申告割合は54.5%です。
各税務署では、数千から数万(十万超)の申告書を短期間で取り扱います。
特に3月中は1日に千枚以上の申告書を整理する日も珍しくありません。
そうなると、どうしても書類が混じってしまうことがあります。
書類管理は税務署も最優先で取り組んでいますが、対策が全てアナログなので結局ミスがはっせいするのが関の山。
その結果、書類が確認できない申告書の還付金を支払いをすることはできませんので、書類が見つかるまでは還付手続きはストップしてしまうのです。
5:税務署に連絡する時は申告書の控えを手元に置いて電話すること
税務署に連絡する時は、申告書の控えを手元に置いて電話しましょう。
確定申告書を2月までに提出した人は、還付金が支払われるまで1か月間は我慢してください。
しかし、1か月以上還付金が支払われない場合何らかのイレギュラーが発生している可能性が高いです。
3月以降に申告書を提出した人は、最大2か月は還付金の支払いに時間が掛かるケースがあります。
2か月経過しても還付金の支払いが無い場合は、税務署に電話して確認しましょう。
考えられる問題はやはり3つです。
- 手続きの問題か
- 申告内容の誤りか
- 税務署のミスか
還付金の支払いが遅れている原因は、税務署に確認してみないとわからないです。
また、税務署に連絡する場合は、必ず申告書の控えを手元に置いて電話してください。
税務署に電話をした時には、本人確認のために、住所・氏名、整理番号などを聞かれます。
(整理番号は不明でも大丈夫です)
なお、電話するのは、本人でないと回答してくれませんので、ご注意ください。
6:確定申告期間中の税務署は忙しいので余裕をもって申告すること
確定申告期間中の税務署は、忙しいです。税務署の職員も余裕がありません。
私は元税務署職員なので、税務署職員の気持ちも、申告した側の気持ちもよくわります。
税務署からすると、「還付金の連絡もうちょっと待ってくれよ」との気持ちはすごくわかります。
申告した人の、「1か月も税務署から連絡がないから何か問題があったのでは」との気持ちも、本当にわかります。
一つ言えることは、3月以降に確定申告書を提出すると、確実に還付金の支払いは遅くなります。
還付金を早く受け取りたい場合には、2月中に確定申告を済ませてください!
ご参考になれば幸いです!