確定申告書を提出した場合、怖いのが税務署からの連絡です。
私は税務署職員でしたので、税務署から電話した際に聞こえる受話器からのタメ息は記憶に残っています。
確定申告書を提出すると、還付金がある場合には1か月から2か月以内に振り込みがされます。
逆に、2か月以上税務署から還付金が振り込まれない場合には、税務署から連絡する可能性が高いです。
また、税金を納める人の場合に早く確定申告と納付を済ませても、税務署は直ぐに連絡しません。
なぜなら、税務調査には事前準備が必要だからです。
税務調査は念入りに準備しますが、それとは対照的に確定申告書チェックは割と雑だったりします。
本当は言ってはいけないのですが、事実なのでしかたがありません。
一応、(元税務署職員なので)念のため、擁護しますと、
- 申告書をチェックする職員の人数が足りない
- 職員の知識が不足している
- 未だにデジタル化が進んでいないので効率が悪い
チェックが雑になるのには、これらの理由があるからです。
特に、申告書をチェックする税務署職員数は圧倒的に不足しています。
所得税の申告書は約2000万件提出しますが、対応する税務署の職員は1万人程度。
1人2000件を細かくチェックをするのは、現実的に不可能です。
そんな、慢性的な職員不足に対処する方法として国税組織が選んだ手段が、税務調査。
適切な申告を全国民に促す目的としても、税務調査を積極的に行っています。
そんな税務調査が、どんなタイミングで訪れるのかご紹介します!
1:適切に確定申告書をした場合には税務署から連絡するこは無い
確定申告書を提出して税金を納付をしたら、一旦確定申告は終了します。
しかし、税務署は調査する権限を5年間所有しているので、税務署はいつでも調査をすることができます。
5年間も調査権限がある理由としては、申告から数年後になってから申告誤りを見つけるケースが多々存在するからです。
自営業の人は毎年確定申告をします。
毎年申告する人の申告誤りがあった場合には、その人の昨年以前の申告書も同じ間違いがないかチェックしなければいけません。
すると、2年前、3年前と遡る(さかのぼる)ことになるので、5年間は調査することができます。
税務署の現役時代は、よく「なんで今更○○年分の申告書の調査なの」と言われました。
しかし、申告書を提出して直ぐにわかるミスは意外と少ないです。
また、何度も調査をすると時間がかかりますので、1回の調査で終わらすために税務署は事前準備をしっかりと行います。
2:意図的に無申告や悪質な場合は最長7年間遡って調査を受ける
税務調査の期間は原則5年間なのですが、例外があります。
それは、脱税行為をしている場合です。
脱税行為とは、意図的に申告をしなかった場合や申告漏れを隠している場合が該当します。
もし、脱税行為に該当すると、税務署は最長7年間は税務調査をすることができます。
さすがに7年も前だと記憶が曖昧になるかもしれませんが、それが通用しないのが税務署。
特に、申告書を提出してから5年目、6年目に調査をする場合には税務署の時間的余裕が無いので、より念入りに調査をします。
万が一そのタイミングで税務調査を受ける場合には、税務署から何かしか意図があると思ってください。
因みに、節税と脱税は全く別物です。
・ 節税
法律内で利用できる方法を活用して、税金の金額を減らす行為
・ 脱税
法律違反をし、て税金の金額を減らす行為
誤解されやすい部分ですので、覚えておいてください。
3:税務署の調査は7月から本番なので気が抜けない
所得税の確定申告書の提出期限は3月15日までです。
(3月15日が土日の場合には後ろの一番早い平日)
しかし、税務署内では3月15日を過ぎても、4月くらいまでは確定申告作業で忙しい日が続きます。
確定申告で計算誤りや書類漏れがあった場合には、直ぐに連絡しないければいけないのですが、どうしても時間が必要です。
なので、4月から6月までの期間は、税務署は確定申告の後処理に追われています。
逆に、7月以降は税務署にとって本格的な調査シーズンに。
特に、近年は国税庁や国税局が税務調査件数を増加させる傾向がありますので、7月から12月は税務調査が集中して多くなります。
ですので、確定申告書を提出して、数か月税務署から連絡が無いのは普通です。
一旦安心するためには12月まで税務署から連絡が無いことを祈りましょう!
4:税務調査を受けた後でも税理士に依頼することができる
もし税務署から税務調査があった場合には調査を受けなければいけません。
税務調査は一応任意ですが、実際には対応することになります。
税務署は税務調査を行うために申告書をチェックしていますので、予め知識を持っています。
しかし、調査を受ける側としては、急に税務署から連絡があってもビックリしますよね。
税務署から指摘があっても「税務署が言うから間違ったのかな」と修正申告に応じることになるかもしれません。
ですが、実は税務署の指摘には根拠が薄い場合があるのです。
また、強引な手法で税務調査をする職員もいますので、法律知識が無い状態だと余計な税金を支払うことになります。
私は元税務署職員なので、脱税には反対です。
しかし、法律内で行う節税は積極的に行っていいと思っています。
ですので、税務調査があった際に、余計な税金を払わないためにも税理士に仲介してもらうことを検討しましょう。
税理士には費用が掛かります。
ですので、本来は自分一人で税務調査で意見できるのが一番です。
しかし、自分で頑張ろうとしたあまり、税務署から指摘を受けて税金を多く支払う可能性もあります。
そんな災難を防ぐのも、税理士の役割です。
税理士は確定申告書の作成を請け負っていますが、もう一つ役割が税務署との仲介役です。
税務署職員はどうしても専門用語を並べますので、理解できない部分もあります。
なので、税理士が仲介して税務署が主張する意図を説明してくれます。
また、根拠が薄い指摘に対しては反論してもらえるので、余計な税金を納めずに済むケースもあります。
しかし、税理士に依頼する上でもう一つ悩むのが、どの税理士に依頼すればいいか問題。
自宅近くに税理士事務所があるかもしれませんが、個人でやっている税理士事務所の口コミは中々ネットにはありません。
税務署時代に多くの税理士を見てきましたが、税理士資格を持っていても全員が優秀な人ではありません。
なので、誤った税理士を選択してしまうと、税理士報酬分だけ余計損をすることに。
そんなミスマッチを防ぐ方法として、『税理士ドットコム』で税理士を探すのも一つの手段です。
『税理士ドットコム』では、自分の希望に合わせた税理士を探すことできます。
- 住んでいる場所から近い税理士
- ネットの知識が豊富な税理士
- 若い税理士
- 報酬が安い税理士
- 税務調査に強い税理士
『税理士ドットコム』は税理士の紹介サイトなので、どんな意見を言っても問題ありません。
また、予め値段を確認すれば、予算から税理士を選ぶことができます。
もしも税務調査があった場合にも、税務調査から対応してくれる税理士を紹介してもらうことも可能です。
正直、普通のサラリーマンの人が税理士に依頼する必要がありません。
ですが、
- 自営業の人
- 税金計算の時間を削減したい
- 不動産売買など特殊な申告が必要
- 特例適用を受ける場合
こちらに該当される方は、確定申告よりも前に税理士に依頼することをオススメします。
特に、自営業の人は年間通して節税を考えなければいけません。
税理士は節税の知識もありますので、税理士に依頼することは確定申告書作成以外でもプラスになります!
ご参考になれば幸いです!