税務署の不祥事は、毎月のように発生します。
2019年6月にもOB税理士から現金を受け取ったとして、税務署職員が処分されました。
参考:国税OBの税理士から現金受け取る、職員4人を戒告処分
元税務署職員の立場で申し上げますと、不祥事を完全に無くすことは不可能です。
では、なぜ根絶できないのか。理由をご説明します。
1:国家公務員の懲戒処分の件数は年間300件
平成30年の国家公務員の懲戒処分の件数は、年間300件でした。
その内、国税庁の件数は47件と、3番目に多いです。
しかし、職員比で考えると、47件は0.08%の職員が処分された計算になります。
0.08%の割合は、全官公庁の中でも低い水準となっています。
2:不祥事を起こす公務員の割合は0.1%のみ
平成30年の国家公務員の不祥事件数は300件です。
しかし、国家公務員は293,830人いますので、全体人数からすると0.1%のみとなっています。
マンモス中学校の全校生徒が大体1,000人くらいですので、中学校全体で不良少年が1人いる計算となります。
割合からすると、不祥事の件数はかなり少数です。
3:公務員の不祥事が多く感じるのは報道されるから
公務員の不祥事が多く感じるのは、報道されるからです。
1週間に1度公務員の不祥事が報道されたらどう感じますか。
そう思って当然です。
しかし、割合だけを見れば、公務員の処分率は全体の0.1%。ごく少数です。
毎週のように報道されれば、それが日常的に行われているものと感じます。
事実として不祥事はありますが、公務員の不祥事だけがクローズアップされているので、公務員はだらしがない印象がもらたされているのが実情です。
4:先輩であるOB税理士との交友を断つのは不可能
OB税理士との交友を断つのは不可能です。
税務署の処分で多いのは、OB税理士との金銭のやり取りです。
OB税理士とは、元税務署職員で、退職後税理士となった方々を指します。
いうなれば、元同僚の先輩です。
昔、お世話になった先輩の言うことを無視できますか。
無理ですよね。
後輩の面倒見がいい職員ほど、私的な交流が増えます。
それは税務署を退職しても同じです。
つまり、同僚の延長線上として交友関係を継続していまします。
その結果、不適切な関係に発展し、処分されるケースに繋がるのです
5:人間関係が存在する限り心が揺らぐのはしょうがない
人間関係が存在する限り、心が揺らぐのはしょうがないです。
風邪をひいた時は弱気になりますよね。
仕事で失敗した時も落ち込みます。
誰もが、常に強い状態を保てるわけではありません。
もし、落ち込んでいる時に甘い言葉で誘ってきたら、その誘惑に取り込まれる可能性は高まります。
99.9%の公務員はそれでも断りますが、0.1%の職員は誘惑に負けて不祥事を起こします。
不祥事を肯定はしません。
しかし、人間である以上ミスは必ず発生します。
不祥事には厳しい目を向けて当然ですが、あくまでも不祥事を起こした職員にのみ向けてください。
99%の職員は不祥事なく、働いていますので。
ご参考になれば幸いです!