公務員の職場環境 PR

現場の公務員の汚職の実情について

トラブル
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

 

有名ブロガー『ちきりん』さんが話題となっていた文部科学省の幹部の汚職事件についての記事を書かれていました。

 

私は財務省トップにいるキャリア組の人との面識はありませんし、末端の税務署職員だったので立場は違います。

税務署でも残念ながら毎年懲戒処分や汚職事件を起こす職員はいます。

 

どんな人間が起こすのか・どのくらいの割合の職員が犯罪を犯すのか

 

それについてご説明します。

 

 

1 公務員の汚職事件の件数は極少数

グラフ

 

汚職は懲戒処分の対象となる行為の一つです。

 

人事院の公表している年次報告書で懲戒制度では下記のように説明しています。

(1)懲戒制度の概要

各府省等の任命権者は、職員が、①国公法若しくは倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合、②職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合、③国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合のいずれかに該当するときは、当該職員に対し、懲戒処分として免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができることとされている(国公法第82条第1項)。その具体的手続は、国公法及び規則12-0(職員の懲戒)に定められている。

 

一般的な認識とさほど変わりはありません。

 

平成28年度 年次報告書では、平成28年度の懲戒処分件数は、国家公務員全体で約29万人に対して263件(0.09%)となっており、割合だけでみえれば少なく見えるかもしれません。

※ 国税庁は41件

 

しかし、文科省の事件は会社の役員クラスの人間が違法行為をしたものであり、平社員が違反したのとは次元が違いますので、数(件数)の問題ではありません。

(表面上にはできてないですが、幹部クラスが接待受ける割合はけっこうあると思います)

 

 

2 国税組織ではどんな汚職が多いのか

tax

 

懲戒処分は汚職事件だけではなく、

・ 飲酒運転

・ 職務専念義務違反

・ 休暇の虚偽申請

など多彩にあります。

(あってはいけないのですが・・・)

 

汚職事件に限定すれば、

・ 納税者からの収賄

・ 税理士からの収賄

こちらがほとんどです。

 

実際の件数としては年に数件程度あり、記事は小さいながらも毎回記者発表をしていますので世間に周知はされています。

 

3 収賄の行う理由

賄賂

 

収賄は双方にメリットがなければ発生しません。

納税者に行う収賄と税理士に行う収賄では少し性質が異なります。

 

納税者の収賄

・ 税務調査を行い、調査結果をうやむやにする代わりに納税者から金銭の受領や便宜を図らせる

 

 

税理士の収賄

・ 税理士から接待を受ける見返りに、部内情報をリークする

 

 

税務署職員が対納税者に便宜を図る場合は職員自身が金銭に困窮し行うケースが多くです。

それに対して、税理士に便宜を図る理由は、国税組織特有の特殊な事情があります。

 

OB税理士の存在

 

税理士になる方法として、

・ 試験に合格する

又は

・ 税務署に一定年数勤務し、必要な課程を修了している

いずれかになります。

 

税務署職員が税理士になる場合はほぼ100%後者です。

必修課程については基本的には誰でも受けることができるので、定年まで勤務した職員の相当数は税理士資格を有しています。

(税理士は登録制なので、試験に合格しただけでは税理士を名乗れません)

 

実際に税理士になるかは別として、毎年数百人退職者がいるので、必然的に元税務署職員(OB)の税理士が存在数多く存在することになります。

OB税理士の一番の問題点は、退職後税理士になるため、現役職員からみると先輩・上司だった人間と接触することになるので、どうしても力関係が働いてしまうことです。

 

汚職をするメリット

内部情報と一口にっても色々あり、

・ 調査の状況

・ 今後の調査の方針

・ 納税者の個人情報

などあります。

 

税理士も民間のビジネスですので顧客を確保しなければいけません。

大口の顧客に調査があった場合には顧客を守らないと他の税理士に引き抜かれてしまうかもしれません。

なので、悪意ある税理士(特にOB税理士)は調査を行っている現役職員と接触し調査の情報を得ようとします。

 

現役職員からみると正直メリットは薄く、「昔お世話になったから断れない」など圧力に負けるケースがほとんどです。

(金銭的受益も受けてるので一方的ではないですが)

 

なので本来であれば税務署には関係性の薄い人間を配置するべきですが、税務署・国税局は2,3年に一度は転勤があるため、多い人は20か所の税務署に勤務することになります。

国税局で一番大きい東京国税局で税務署は84署なので、約1/4の税務署に勤務することになります。

管轄も東京・千葉・神奈川・山梨と広範囲であるため、通勤圏を考えるとどうしても元先輩・上司が開業した地域に勤務することになります。

※ 東京国税局が一番狭いです

 

4 汚職事件はなくならないのか

手錠

 

99%以上の職員は法を犯すことなく職務に従事しています。

 

それでも100%汚職を無くすことは現実的ではありません。

 

公務員といっても就職するまでは民間の人と同じように生活してきた人間です。

 

公務員に就職=清廉潔白な人間

 

すぐに変身はできません。。

 

もちろん、採用された当初から公務員の理念を叩き込まれ、職員も自覚し行動しますが、年齢を重ねるほど自覚が薄くなってしまいます。

 

汚職0%達成したいのなら、汚職に見向きもしないくらい給料を上げるしかありませんが、現状はそんなことはできませんので、職員一人一人の倫理観に頼るしかありません。

 

 

おわりに

 

汚職事件の場合、大々的に報道されますが、本質の核心まで迫ることは無く、毎回改善まで至らないのは非常に残念です。

(組織改革を本当にしてほしい)

 

現場は毎年複数回の研修や資料の交付を受け、幹部からも不祥事について再三注意を受けます。

しかし汚職は双方もメリットが合致した場合にどうしても起こりえる問題出るため根本的な問題点(汚職メリットを無くす)をしなければ不祥事は無くなりません。

 

これ以上自浄能力は無いので外側から少しづつ雰囲気づくりをするしかないのが現状です。

 

ご参考になれば幸いです!